日本経営管理教育協会が見る中国 第572回 ――磯山隆志

◆BTSとは

 BTS(防弾少年団)は韓国出身の7人組アイドルグループである。2013年にデビューすると同時に人気を博し、同年には韓国内の音楽賞で新人賞を獲得した。翌年には日本でもデビュー、曲もヒットした。その後はワールドツアーを開催するなど活動の舞台を世界に移し、次第に世界的な成功を収めるようになった。中国における人気も上昇している。

 2018年6月には3枚目のアルバム「LOVE YOURSELF 轉 'Tear'」がアメリカのビルボード・アルバム・チャート「Billboard 200」において、韓国系としてもアジア系のアーティストとしても初の1位を獲得した。さらに同年9月にはコンピレーションアルバム「LOVE YOURSELF 結 'Answer'」も同チャートで1位となった。

 そして、2019年4月に全世界同時発売した最新のアルバム「Map of the Soul: Persona」も3作連続の1位となり、11カ月弱という短期間で3回目の1位を獲得する快挙を成し遂げた。ビルボードによれば1年以内に3回目の全米1位となるグループはザ・ビートルズ以来だという。

 「Map of the Soul: Persona」は日本のオリコンデイリーアルバムランキングでも1位、さらにはイギリスのアルバムチャートにおいても韓国のアーティストとして初の1位となるなど世界的なヒットアルバムとなり、86の国と地域のiTunesアルバムチャートでも1位になったとされる。また、人気歌手Halseyをフィーチャーし、このアルバムからシングルカットされた曲「Boy With Luv」はYouTube史上最速で再生回数1億回を突破したとされ、日本でも発売されることになった。2019ビルボードミューシックアワードでも2部門で受賞、人気を確実なものにしてきている。

◆人気の理由

 英語圏以外のアーティストであるBTSがこれほど世界的な人気を得る理由については様々な意見がある。ヒップホップを基本とした音楽性や質の高いダンスパフォーマンスもその一つとして挙げられることが多い。韓国のいわゆるK-POPはすでに世界的な人気となっているが、その中でもBTSはSNSの活用と社会性において他のアーティストと異なっているといわれる。

 TwitterやYouTubeなどのSNSでグループのアカウントを持ち、頻繁に更新して自分たちの最新の活動状況や舞台裏をファンと共有し、身近に感じられるようにしている。また、防弾少年団という名前が「10代・20代に向けられる社会的偏見や抑圧を防ぎ、自分たちの音楽を守り抜く」という意味を込めているとされるように、歌詞の内容も若者の心情に共感するものになっている。社会的な活動にも国連で若者に向けたスピーチを行い、セウォル号の事故の時には1億ウォンを寄付するなど積極的に関わっている。

◆日本や中国のアーティストは続くことができるか

 これまでのテレビ中心の時代とは異なり、ネットワークが中心となった時代には共感的な存在が求められるのでないだろうか。共感したファンはファン同士でも共感し、新たなつながりができる。BTSが韓国系として初めてイギリスのウェンブリースタジアムで2日間、12万人を集めた公演のときには、スタッフの呼びかけにより6万人のファンがサプライズとして韓国語で曲を合唱したという。日本や中国からも社会的な共感を生み、世界的に活躍するアーティストが出てくるか注目される。(写真は、BTSのイベントの様子。提供:日本経営管理教育協会)