かつて日本の高度経済成長期に実施された琵琶湖の水質改善プロジェクトが、JICA(国際協力機構)の支援の下、滋賀県と湖南省の共同プロジェクトとして洞庭湖に導入されて成果を上げた。中国メディア・紅網は6月5日、湖南省長沙にて、滋賀県琵琶湖環境部、JICA中国事務所同席のもと開催された洞庭湖水質改善プロジェクト報告会の模様を報じる記事を掲載した。

 滋賀県と湖南省は、琵琶湖と洞庭湖という同じように大きな湖を持つ縁で1983年に友好協定を結び交流を深めてきた。そして、2016年11月から、JICAの下で滋賀県が琵琶湖の浄化のために行ってきた各種施策を、洞庭湖の環境に合った形で提供するプロジェクトを実施。今回その成果について報告会が開かれた。

 洞庭湖は、面積2820平方キロと、琵琶湖(670平方キロ)の4倍以上の広さを持つ中国で2番目に大きな湖。かつては、中国一の湖だったが、揚子江から流れ込む土砂や人為的な開発によって縮小した。また、近年では河川一帯の経済発展に伴い、工業排水や農業排水などのために水質汚染が進み、地域の漁業に深刻な影響が出ていたという。

 琵琶湖は、1970年代の後半に工業排水や生活排水が原因で赤潮などの発生による水質悪化が深刻化した。その時に県民運動として湖を守る運動が盛り上がり、県は、赤潮の原因となる「リン」を含んだ合成洗剤の販売・使用を禁止することなどを盛り込んだ「琵琶湖条例」を1980年7月に制定。下水道の整備も進めるなどして、水質の改善に成功した。

 報告会では、周辺住民への意識向上教育などにより、農村の環境保護意識の向上や水質改善が進んだと紹介された。具体例として、長沙市望城区光明村の活動では、日本を見習ってゴミを細かく分別することを奨励する活動を実施。まず、村にあった160のごみ溜め場を廃止し、分別用のゴミ箱を各世帯に配布してゴミ分別を奨励。その結果、全村で毎月60トン出されていたゴミを10トン未満にまで削減することが出来たと報告している。

 また、総括として、「琵琶湖に端を発し、洞庭湖の農村にて展開された水質改善プロジェクトの内容は、湖南省に着実に根をおろして成果を上げ洞庭湖全体の模範となった。今後、引き続き日中で手を携えて、湖南省の他地域や全国への普及推進を図りたい」という報告がなされたとしている。

 日本が経験した経済発展に伴う公害・環境汚染とその克服は、現在、公害対策が急務になっている中国で、様々に活かされるノウハウになるだろう。今、多くの中国人が日本を旅行で訪問し、日本の「清潔さ」に驚いている。その清潔さを実現する前には、日本各地で悲惨な公害被害の歴史があった。滋賀県と湖南省の関係は35年以上にわたる交流がもたらした幸運な事例かもしれないが、このような事例が共有化され、中国の環境が改善されることを期待したい。(イメージ写真提供:123RF)