日本経営管理教育協会が見る中国 第567回 ――下﨑 寛

 2019年4月に国民IT化の先進国エストニアにX-Road(電子管理)について視察してきた。

 エストニアは、バルト三国(ラトビア、リトアニア)のリーダ的存在である。ソ連崩壊とともに1991年に独立をした。面積は日本の九州くらいであり、人口は130万人しかいない。独立当初は、主な産業、資源がなく、貧困に喘いでいた。そこで、エストニア政府は、将来を見据え、当時スタートしたインターネット環境を重視し、国民背番号制を導入し、インターネット教育を強化した。その結果、世界に通用するIT企業のスターアップが盛んとなり、Skype等のソフトが開発され、何と国民1人当たりのGDPが22,000$という、独立後30数年で驚異的な発展を遂げることができた。

 また、国防に必要性から、ロシアを警戒し、EU、NATOに加盟し、ヨーロッパの一員としての国防の形を造った。その選択もあり、社会の効率性、生産性を図るために、IT化を強化したようである。

 国民性は、日本人に似て、親切であり、自己主張が弱く、我慢強い性格であるという。ただし、超合理主義であり、Yes-Noがはっきりしているようだ。

 面白いことに、野良猫、野良犬がいないことだ。その訳は、北海道と同じ気候であり、野外では、生きていられないことらしい。

 税制面では、オンライン申告ができ、法人税は20%となっているが、利益の配当をしなければ、税金がかからない。また、法人設立がオンラインででき、2,3日で登記が終了するようだ。したがって、個人事業者はいなく、ほとんど法人登録し、法人組織で活動している状況である。日本人も関心をもっており、最近では、邦人会社登録が160件ほどあるみたいである。

 また、弁護士くらいしか士業が認められておらず、会計事務所等は、コンサル会社として営業ができ、自由に、いつでも営業を開始できるようになっている。これは、日本で喧伝されているようにエストニアには士業の仕事がITにより必要がなくなったのではなく、もともと士業という資格制度が必要なかったのである。

 さらに、歌と踊りが大好きであり、「歌と踊りの祭典」を5年に一度盛大に開催される。この祭典は150年続いているという。

 ところで、国民の電子化が進んでおり、生活上、何でもオンラインでできるようになっているが、唯一、できないことは、本人の意思確認が必要となる、結婚、離婚、不動産の売買については、単にオンラインでできないようになっている。

 土地情報においては、日本の公図制度のように、法務局において、全国の土地の所在地、取得価格が整理されている。したがって、土地の所有権の移動があれば、速やかに、法務局、財務省に情報が流れるようになっている。土地台帳に移動の取得価格が管理されているので、不動産を売買した場合は、売買価格と取得価格の計算ができ、譲渡益の20%の税金を納付することとなる。なお、エストニアでは、相続税はないが、相続により土地を取得した場合は、被相続人の取得価格は引き付けず、0からスタートするようだ。

 日本においても、この制度を検討し、税金の平準化と公的申請についてマイナンバー制度のレベルアップを考えるべきであろう。(写真は、エストニア政府。提供:日本経営管理教育協会)