この5月、同性婚がアジアで初めて合法化される台湾。しかしその一方、中国では同性愛者への逆風が吹き荒れている。

 中国最大ともいわれるソーシャル・メディア・プラットフォーム「シンランウェイボ」が政府の意向を受けて同性愛に関する書き込みを禁じる通達を出し、男性同性愛者のアカウントを予告なく封鎖したことに当事者たちの抗議が殺到し、撤回に追い込まれたことは去年大きな話題となった。しかし、それからほんの1年しか経たない4月半ば頃より、今度は女性同性愛者のアカウントがウェイボや豆瓣(トウパン)など大手SNS上で突然封鎖されるという出来事が発生している。

 北京に本部を置く非政府組織(NGO)「同志権益促進会」は4月14日、自らの公式ウェイボを通じて、閲覧数5億にのぼる「les超級話題」が予告なく封鎖されたことを発表した。

 「超級話題」とはシンランウェイボが提供しているトピック機能とコミュニティー機能を兼ね備えたサービスで、書き込みを通じて同じ趣味や共通点のあるメンバーと交流できるというものである。このほか、トウパンにおいても25万人のメンバーを有する女性同性愛者コミュニティ「les sky小組」が突然の閉鎖により、ページが表示できなくなった。さらに中国の大手ショッピングサイト「タオバオ」でも、LGBTを象徴するレインボーを使った商品が突如ショップから撤去されてしまった。

 今回の一連の閉鎖に関連し、中国全国掃黄打非(反ポルノ反非行)事務所が今年4月からネット上の低俗な情報を一掃するための活動を年末まで行っていると新華社通信が伝えている。粛生内容に「正しい恋愛観・婚姻観および家族の倫理道徳に反する内容」が含まれており、本活動の重点対象として、ウェイボやウェイシンが挙げられていた。

 同志権益促進会は、今回の相次ぐ同性愛者のアカウント閉鎖およびコミュニティ閉鎖は、シンランなど大手SNSが公の粛正に先立ち、自ら粛正に踏み切ったとの見方を示している。

 これに対し、多くのネットユーザーが再び立ち上がり、同性愛者を応援するためのネット行動を開始している。例えば関連する検索ワードのハッシュタグをつけた抗議ツイートはすでに4620万回の閲覧数に達しているし、また、中国同志公益雑誌「同志之声」はウェイボを通じて、自分のアイコンをレインボーに変更しようと呼びかける活動を行っている。

 しかしながら、同志権益促進会は悲観的だ。昨年、「私は同性愛者だ」で抗議活動を発起したある男性同性愛者はネット有名人だったこともあり、一夜にして2.4億回もの閲覧数を獲得できた。しかしそれに比較して、今回は注目度がずっと低いことは明らかだ。これには、中国の女性同性愛者がネットを通じて声をあげるということが、男性同性愛者に比べてずっと少ないという状況が背景にある。より多くの人々の関心を集めることができないかぎり、政府に影響を与えることは困難だろう。

 ちなみに日本では、つい先ごろ、国立社会保障・人口問題研究所の研究チームが大阪市市民を対象に行った性的指向や性自認などを尋ねる調査の結果、有効回答のあった4285人中、ゲイ・レズビアン(同性愛)、バイセクシュアル(両性愛)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない)のいずれかに当てはまる人は速報値で2・7%(計115人)だった。(イメージ写真提供:123RF)