日本経営管理教育協会が見る中国 第566回 ――宮本邦夫

 GAFAの一角を占めるアマゾン・ドット・コムが、7月をもって中国でのネット通販から撤退することを発表した。中国のネット通販で合わせて80%を占める巨大企業であるアリババ、京東集団の2強との競争に負け、敗走兵として引き上げるイメージを世界に印象付けたかたちになったが、マネジメント上どのような問題があったのか考えてみたい。

◇中国では通用しなかったアメリカ式経営の成功法則?

 アマゾンは、本を通販することを中心にしたネット通販のビジネス・モデルを開発し世界に展開していった。特に、アメリカ、日本においては、50%のシェアを占めるほど、成功を収めた。アマゾンは、2004年に中国の企業を買収して中国でのビジネスに踏み切った。中国においても、そのビジネス・モデルで事業を展開し、一時は15%のシェアを占めるところまでいったが、その後は、上記の2強の厚い壁を突き破ることができず、最近のシェアは1%足らずとなり今回の撤退となったわけである。中国では、アメリカや日本で成功した経営方式が中国では通用しなかったということであろうか。

◇きめ細かな対応の欠如

 中国におけるネット通販は、アリババと京東集団の2強が、圧倒的な強さを見せているわけだが、それは、中国人のニーズに合致したきめ細かな対応をしてきたからに他ならない。例えば、アリババの場合、実店舗を各地につくり、実際に商品を確かめて安心感、信頼感を与えるような方策をとったり、注文を受けてから出来るだけ早く顧客のところに商品を届けるために流通網の整備を行ったりして、顧客満足度を高める努力を地道に重ねてきた結果、今日の地位を確保したのである。だが、アマゾンは、このようなきめ細かな対応をしなかったために顧客が離れていったと推察される。

◇プライシング戦略の失敗

 ネット通販は、どちらかと言えば高価格の商品よりも低価格の商品を提供することに適したビジネス方式である。アマゾンが提供する商品は、アリババなどと比較すると、高額のものが多かったと言われている。同じような商品であれば、顧客は、安いほうを選ぶのは当然のことである。シェアが低下し、売り上げが縮小していけば、大量販売による低価格化ができなくなり、どうしても価格設定を高くせざるを得ない。アマゾンは、価格競争の面でも、2強に勝てなかったということである。それにしても、アリババと京東集団の強さには驚くべきものがあり、日本の企業も学ぶ点が多いと思われる。(写真は、アマゾンの通信販売用外箱の例。提供:日本経営管理教育協会)