農業と技術を組み合わせた「アグリテック」が、世界の農業を変貌させつつある。人手不足や生産性の低さなど、従来の農業が抱える問題を最新技術で解決しようという試みは中国でも盛んだ。中国メディアの第一財経は20日、農業分野で「SF感」が急上昇していると報じた。

 記事はまず、政府が農業のモデルチェンジと高度化を推進していることを紹介。「伝統的な農業は今、急速なデジタル化の変革を静かに進めており、各種の新技術を実践するブルー・オーシャンとなっている」と述べ、その例として、ビッグデータを用いた精密農業の出現や、無人機による正確な農薬散布とデータ収集、高度な遺伝子編集技術、衛星画像の活用などを挙げた。

 また、そのほか注目を集めているトピックとして、畜産業における阿里雲(アリババクラウド)や京東(ジンドン)のAI活用例を紹介。「豚の顔認識」による個体の健康管理といった最新技術により、人的コストや飼料コストの低減が期待されているという。

 その一方で記事は、先進国と比べればまだ遅れがあることや、中国は欧米と違って小規模農家が多いという特徴を指摘し、「小規模農家がアグリテックを取り入れることでも生産力の大幅な向上が期待できるが、やはり相応の研修とサービスを盛り込む必要がある」という業界関係者の意見を紹介した。また、「中国の農業に参入するハイテク企業はみな、しっかりと地に足をつけ、短期や中期では利益を出すのが難しいことに備えて、長期的に耕していく準備をすべきだ」という別の関係者の声も紹介し、記事をしめくくった。

 中国がアグリテック導入を急速に進める理由の一つとして、近年、豚の飼料ともなる大豆の国内生産量が伸び悩み、アメリカなどからの輸入量が大幅に増えていることが考えられる。今はまだ「SF感」ただよう農業分野の新技術が、当たり前のツールとして普及する日も近いかもしれない。食料自給率が4割に満たず、農業従事者の減少が続く日本にとっても、農業のモデルチェンジをいかに進めていくかは、重要な課題となっており、様々な取り組みが進められている。先端技術が、日中の農業にどのように取り入れられていくのか注目される。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)