日本経営管理教育協会が見る中国 第559回 ――宮本邦夫

 長い間右肩上がりで推移してきた中国の自動車販売も、2018年には、28年振りにマイナス成長となった。中国を代表する自動車メーカーである重慶長安汽車は、最終利益が前年比89%の減益、北汽福田汽車にいたっては32億元の赤字に転落するなど、企業の業績失速が鮮明になった。そこで、中国における自動車マーケットの現状と将来をいろいろと検討してみることにしたい。

◆撤退、減産に追い込まれる外資系企業

 中国の自動車マーケットの失速の被害を被っているのは、中国企業だけではない。外資系自動車メーカーも、窮地に立たされている。例えば、日本の自動車メーカー・スズキは、18年9月に中国生産から撤退することを発表した。また、米国のフォード・モーターの中国での合弁会社・長安フォード汽車は、減産に追い込まれ、2万人いる従業員のうち10%の2000人を削減する計画を明らかにした。さらに、韓国の自動車メーカー、現代自動車の合弁会社・北京現代汽車は、消費低迷に加えて2017年に発生したTHAA(地上配備型ミサイル迎撃システム)問題もあって、工場の一部停止に追い込まれた。

◆ガソリン車生産に対する規制の強化

 中国では、二酸化炭素、PM2.5などの大気汚染に対処するために、ガソリン車を規制している。今年になって政府は、自動車メーカーに対して電気自動車(EV)などの新エネルギー車(NEV)の生産を義務づける規制を設けた。将来的には、ガソリン車販売禁止計画も検討されている。その先駆けの実験地となっているのが、海南省である。海南省では、2030年に省内でガソリン車の販売を禁止する計画を発表した。英仏など西欧でも、2040年にガソリン車の販売を禁止する計画があるが、それよりも10年も早いということになり、環境対策に関する中国政府の取り組みの真剣さ、熱意がうかがえる。

◆自動運転車の開発競争の激化

 いま、各国の企業が競って、より安全で安価な自動運転車の開発を行っている。自動運転の成否を決めるのは、何といってもAI(人口知能)である。自動運転車の走行試験は、AIのメッカ・シリコンバレーがある米国カリフォルニア州で盛んに行われている。ここでは、AIをリードしている米国と中国の企業が特に熱心である。中でも、グーグル、アップルなどの米国勢に対抗する形で、中国の百度など数社が走行実験を行っており、収集したデータをもとに改良を行って安全で安価な自動運転車の完成を目指して激しい競争を展開しており、日本の自動車メーカーがどう対応するか、その動向が注目されている。(写真は、海南島三亜市の渋滞状況。提供:日本経営管理教育協会)