世代をこえて愛されるジブリ映画から最新の春アニメまで、作品の舞台となった土地をファンがたずねる「聖地巡礼」は、アニメツーリズムとも呼ばれ、今では日本の一大ビジネスとなっている。この現象は海外からも注目されているようだ。中国中央テレビ(CCTV)は10日、日本のアニメがどのように地域経済を動かしているのかをテーマとする番組を放送した。

 CCTVは今年1月、アニメ『夏目友人帳』(原作マンガ:緑川ゆき)の舞台である熊本県人吉(ひとよし)市を取材。あいにくの大雨だったが、それでも多くのアニメファンに出会ったという。ある日本人ファンはインタビュアーに対し、「アニメの世界と現実の世界が似ていて、そこに自分も入れる」と、現地を訪れる楽しさを語った。人吉市の多くのホテルやレストランには、同作のキャラクター「ニャンコ先生」が置かれているほか、タクシー会社は作中の風景をめぐるコースを用意し、地域を挙げてアニメツーリズムを推進している。

 CCTVは、日本ではアニメによって「多くの無名の町が人気の観光地にがらりと変わっている」と指摘。日本全国のアニメに由来する観光地は約5000ヶ所にのぼり、ファンの旅行による経済効果は毎年500億円を超えると紹介した。

 この番組に関して、中国メディアの東方財富網は10日、日本ではアニメの舞台を訪ねる旅行のほかにも、日用品やカフェなど、アニメ関連の産業チェーンが確立されていることに言及。「近年、中国のアニメ関連製品の市場では、営業利益の75%以上が日本などのアニメ派生商品のメーカーに流れている」としながらも、中国でも質の高いアニメ作品が次々と現れており、徐々に独自のアニメ産業チェーンが形声されつつあると述べた。

 『夏目友人帳』はアニメ放送開始から10年以上になるが、全国各地のファンが途切れることなく人吉市を訪れているという。また、今月7日には中国でもアニメ映画『夏目友人帳 うつせみに結ぶ』が公開され、最初の3日間で興行収入が6500万元(約11億円)を超えるという好調な滑り出しを見せている。『夏目友人帳』のような日本の作品が、長年にわたりファンの心をつかみ、新たなファンも取り込んでいる背景には、コンテンツを消費するだけでなく大切に育てていこうとする関係者の努力があるのではないだろうか。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)