日本経営管理教育協会が見る中国 第557回 ――水野隆張

◆激しい二大国の貿易戦争の裏で進行する両国の問題山積

 米中貿易戦争では米中双方が譲らぬ姿勢で長期化の様相を呈しているが、米中双方にはいろいろと問題が多く、その行く末には難題が山積しているように思われる。

 日米貿易摩擦では日米同盟下に有って日本が一方的に譲歩を迫られる形となったが。同盟国ではない中国には通用せず中国は受け入れないばかりではなく、米国への対抗措置として報復関税が引き上げられ、第三国は今まで通り両国に輸出できるので、世界経済に与える影響は限定されることになる。結局は、両国の産業が困り、日本の自動車やブラジルの大豆のように第三国の産業が漁夫の利を得ることになるであろう。トランプ大統領もロシア疑惑や下院議会の民主党の抵抗・次期選挙対策などの対応に追われることだろう。しかしながら、それにも増して中国側にも問題は山積しているように思われる。

◆中国の「一人っ子政策」の弊害

 現在の米中両大国の人口を比較すると、中国は、アメリカも約4.2倍の人口を擁している。

 人口抑制のため1978年に始まった中国の「一人っ子政策」は2015年まで続けられたが憲法25条には「国家は一人っ子政策を推進実行する」と明記され、違反者には厳しい罰則を定めた。そのため、特に農村部では様々な方法を使って男児を生む方法を考えたため子供の男女比が120対100くらいまで開いてしまったのである。その結果、2020年には、結婚適齢期の男性が、女性より3000万人も多い社会となると言うのである。嫁を貰えない男性は「剰男」(余った男)と呼ばれているようだ。一方、若者に関しては、2022年には大学卒業生が900万人を超えると言われており、中国の大学生は昨年の9月現在で3699万人もいて、世界の大学生の2割を占めている。日本の約13倍の学生数で、経済規模は日本の2.5倍もないので、就職先が全く足りないのが現状なのである。

◆急増する離婚件数

 2024年になると年間600万組が離婚すると報じられている。そうなると1200万人が離婚することになり、これは東京都の人口に匹敵する数字となる。日本の離婚件数は2016年には7000組なので、中国では日本の27.6倍もが離婚することになるのである。離婚原因は「一人っ子政策」にあると言われている。子供が一人であることから贅沢かつワガママに育てられ結婚してからも我慢することが苦手で、便利な両親の実家が近くにあると、いとも簡単に離婚してしまうことになるという。

 さらには、マンション投資が過熱すると、価格が高騰して庶民が買えなくなるため、政府は2011年以降、「ひと家庭に1軒のみ」といったマンション購入制限令を打ち出した。それなら「離婚してふた家庭になれば2軒買える」ということで「マンション離婚」が急増しているというのである。

◆超高齢化社会・中国

 国連の「世界人口予測2015年版」によれば、2050年の中国の60歳以上の人口は、4億9802万人、80歳以上の人口は1億2143万人に上るという。還暦人口が約5億人、傘寿人口が現在の日本の人口に匹敵するという恐るべき高齢化社会が中国に到来するということである。この未曽有の高齢化社会の到来こそが未来の中国にとって最大の課題となることは間違いない処であろう。中国は2049年に、建国100周年を迎えることになるが、今はパワフルに見える強国中国もそのころにはヨロヨロの老人大国に変貌していることになるだろう。(写真は、日本の離婚届。提供:日本経営管理教育協会)