中国には「兵馬を動かす前に、糧草を先行させる」ということわざがある。「兵馬」は軍を、「糧草」は兵士の食糧と馬のえさを指す。行動する前にしっかり準備すべしという例えだが、中国メディアの華夏経緯網は26日、このことわざを言い換えて、「日本の“兵馬を動かす前に、環境設定を先行させる(原文:兵馬未動、預置先行)”を警戒せよ」と題する記事を掲載した。

 「日本は平和憲法の制約により、交戦権を持たず軍隊を保有できない。日本政府は“兵馬”を動かすために頭をしぼり、“専守防衛”の制約を突破しようとしている」。記事はこのように述べ、2016年3月に施行された安全保障関連法により、自衛隊の外国軍に対する後方支援の条件が緩和されたことなどを挙げた。

 また、日本政府が現在進めている「戦略的環境設定」の例として、アフリカ東部・ジブチの自衛隊拠点の強化や、島嶼防衛の合同演習の頻繁な実施、ファイブアイズ(米・英・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)との情報共有の強化などを列挙。その他、護衛艦いずもの「空母化」や、人工知能・レーザー・電磁波など最先端技術への投資を通じた「多次元統合防衛力」の構築、「宇宙部隊」新設の計画にも言及した。

 記事はさらに、日本がアメリカ、オーストラリアなど複数の国と締結・署名・交渉している「物品役務相互提供協定(ACSA)」を取り上げ、この協定には深い意図があると指摘。「アメリカやその同盟国とさらに深く実質的な軍事協力を行う」ことなどの他に、「“兵馬”を動かすニーズに応えるだけではなく、“兵馬”を動かすことでニーズを創出し、自衛隊が海外展開するための先行の補助道路とする」という目的もあると分析した。

 最後に記事は、「日本が今後もこういったやり方を続け、締結国に後方支援を提供することによって、海外派兵をさらに多様な形で推し進め、機に乗じて体制の縛りを突破し続けることは容易に推測できる」と述べ、「国際社会はよく警戒しておかなければならない」と締めくくった。

 記事の筆者2名の所属は、人民解放軍の学術機関・軍事科学院と、中央軍事委員会の機関紙・解放軍報。日本が「専守防衛」の制約を突破しようとしているという見方は、中国の軍関係者の間で広く共有されている認識なのだろう。同様の認識を抱く人は日本国内でも少なくないかもしれないが、国際社会が何を警戒すべきかについては、意見の分かれるところではないだろうか。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)