近年、中国では、交通違反を減らす画期的システムが導入されているようだ。中国メディアの国際金融報は18日、「小都市の信号無視も、顔認識できる」と題する記事で、記者が今年の春節期間に帰省した際の体験を紹介した。以下に記事の一部を引用する。

 「駅から実家に向かう途中、信号機のところに大きなディスプレイが設置してあった。そこには、カメラで撮影された信号無視した通行人の写真と、顔認識で出てきたその人の身分証写真、ぼかし処理された氏名や身分証番号などのデータがくり返し映し出されていた」。

 記事に添えられた写真を見ると、ディスプレイのサイズは縦2メートル×横4メートルほどもあるだろうか。信号無視した場面の証拠写真が数枚と、そこからトリミングしたと思しき通行人の顔のアップ、その身分証写真などが画面上に表示されている。氏名と身分証番号はモザイク処理されているが、他はそのまま映し出されるシステムのようだ。

 このディスプレイが設置されているのは、中国東部に位置する人口約110万人の東台市。記事によると、2018年7月から顔認識システムの構築を開始し、市中心部の道路4ヶ所に、通行人が信号無視すると自動で撮影してスクリーンに流す装置を設置した。さらに、同市の宣伝部は、微信(ウィーチャット)の公式アカウント上で交通違反行為の一部を定期的に公開。「さらに多くの市民に交通規則を守ることの重要性を意識させている」という。

 春節に帰省して初めてこのシステムの導入を知った記者は、感慨のこもった文体で次のように述べている。「驚きと興味を覚えるのは、この黄海のほとりの小都市の住民にとって、顔認識は、決して遥かに遠い“ハイクラス”なものなどではない、ということだ。かつてはアクション大作映画の中にしか出てこなかった顔を認証するシーンは、今や現実の生活の中に存在している。顔認識システムは都市の交通安全の “守護者”となったのだ」。

 調べてみると、同様のシステムが昨年から北京、天津、深セン、武漢など全国で続々と導入されているようだ。今回の記事の掲載元である国際金融報は、中国共産党と密接な関係にある人民日報社の週刊紙であり、当然ながら、システム導入を大いに肯定する形で記事をまとめている。しかし、その行間には、着々と監視社会に向かう自国に対しての、文字通り“言い表せない”感情が見て取れるようにも思える。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)