都市部で働く人々にとって、通勤による疲労は悩みの種である。日本でも、満員電車を避けて、徒歩や自転車でさわやかに出勤する人は少なくないだろう。しかし、世の中にはさらに上がいたようだ。中国メディアの新京報は18日、毎日ある方法で長江を渡って通勤しているという重慶市の男性・劉氏を取材した。

 「会社は川のすぐ向こう側」。新京報の記事によると、劉氏の勤務先は、住居から見て長江をはさんだ対岸にある。バスに乗ると渋滞や迂回で約1時間もかかるため、劉氏は2018年7月から、パドルボード(サーフボードの一種)をこいで川を渡り、会社に通うようになったという。

 パドルボードは、SUP(サップ/スタンドアップパドルボード)とも呼ばれ、ボードの上に立って、1本のパドルで水面をこいで進むウォータースポーツだ。パドルボードで川を渡る劉氏の様子は、ネット上で“出勤は波しだい”だと話題になった。目撃者によると、長江を横断するのにかかる時間はわずか6分強だという。

 劉氏は民間救助隊でボランティア活動をしており、パドルボードを使った救助訓練を行ったのがきっかけで、このスポーツに興味を持ったそうだ。「危険ではないのか」という新京報記者の問いに対し、劉氏は「この辺りの水面は穏やかで大きな湖のよう。ネット上では“出勤は波しだい”と言われているが、実際は波がなく、パドルボードのための条件が整っている」と答えている。

 毎朝出勤のとき、劉氏はパドルボードを抱えて岸に行き、靴やバッグや携帯電話を防水袋に包んで、救命胴衣を着用する。さらに、水に落ちた場合にそなえて、パドルボード上で足に安全用ロープを結ぶのだという。普通に通勤するより大変ではないかという気もするが、「通勤時間の節約以外にも、体を鍛える効果もあります」と劉氏。2018年7月以来、雨の日以外はほとんどこの方法で通勤しているという。
 
 パドルボードによる斬新な通勤方法は、試してみたくても日本ではさまざまな理由から困難だろう。インタビューの最後で劉氏は、「専門的な技術を身に着けて、充分な安全装備と知識をそなえてからでなければ、パドルボードはできない。皆さん、軽い気持ちでやらないように」と注意を促している。ちなみに彼は、保険業界で働いているとのことである。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)