先日、日立製作所は英国での原子力発電所建設計画からの撤退を決定した。中国メディアの中国経済網はこのほど、このニュースについて紹介し、「日本に放棄された英国を救えるのは中国しかいない」と主張する記事を掲載した。

 英国では、老朽化した原発を廃炉にし、次世代型に切り替える計画だ。しかし、東日本大震災後、安全対策強化や装置の複雑化で原発の建設や維持コストが急上昇し、事業費は当初予定の1.5倍にあたる約3兆円に膨らんだ。このため、日立は3000億円の損失を計上することになり、正式な撤退を決めたという。しかし記事は、日本は英国でのプロジェクトを「放棄」すると批判した。

 記事によると、日立のこの決定を英国メディアは「大打撃」と報じており、「皮肉なことに」ここで救済者注目されているのが中国企業なのだという。インフラ輸出に積極的な中国は、これまでも英国の核エネルギー市場に興味を持ってきた。2015年に訪英した習近平主席は、キャメロン政権との間で中国製原発を導入することで合意しており、中国自主開発の第三世代原発である華龍1号も現在英国で審査中だ。

 記事は、これまで英国では原子力発電所の建設を巡って、日本企業ばかり注目され、中国企業の進出はむしろ英メディアにより「邪魔されて」きたほどなのに、今になって思い出されるというのは良い気分ではないと不満を示した。しかし、中国企業は日本企業よりも優秀で、英国に経済的協力を求めないのでコストも安く、「何よりも誠実」なので英国の救済者になれると主張。さらには、インフラ輸出に力を入れる中国にとっても長期的に見ればプラスとなり、悪い話ではないので気を悪くせずに救ってあげれば良い、と上から目線で締めくくった。

 実際のところ、原発が民営化している特殊な状況の英国からの撤退は、日本企業にとっては巨大な損失とはなるがそれだけの理由があるはずだ。仮に福島原発のような事故が起きた場合、民営化されている分より大変なことになっていたかもしれない。したがって、撤退は英断と言える部分もあるのではないだろうか。

 記事では、日本企業は不誠実で中国企業は誠実だという構図を作りたいようだが、物事はそれほど簡単ではないと言える。英国の原発市場において中国がチャンスをつかみ英国の救済者となり得るのか、結果が分かるにはもうしばらく様子を見る必要がありそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)