日本経営管理教育協会が見る中国 第552回 ――宮本邦夫

 米中の貿易戦争、AIの急速な進展、シェア自転車バブルの終幕、中国製造2025政策など、中国の経済は激動している。今後は、従来の右肩上がりの成長から減速経済へと移行していくのが確実視されており、中国ビジネス戦略は、変更を余儀なくされている。そこで、日本企業が、これからの中国ビジネス戦略をどう策定、実行すべきか、そのあり方を考察してみたい。

◇価値ある情報の収集

 中国ビジネス戦略に限らず、経営戦略を策定するには、何といっても情報収集をしっかり行うことである。情報には、ごく一般的な情報(インフォメーション)と価値ある情報(インテリジェンス)があるが、経営戦略策定に必要なのは当然のことながら、後者の価値ある情報である。したがって、まず価値ある情報を収集することに努めなければならないが、そのための方策として力を注がなければならないのは、ヒューマン・ネットワーク(人脈)づくりである。なぜなら、確かな情報源を持つ人脈から得られる情報は、戦略策定に役立つ価値ある情報が多いからである。

◇より慎重なコンティンジェンシー・プランづくり

 経営戦略というのは、一言で言えば、変化する経営環境に企業活動を対応させるための計画づくりである。換言すれば、収集した価値ある情報を駆使して企業を取り巻く経営環境の変化を予測し、それに合致した計画を策定することであり、コンティンジェンシー・プラン(状況適応計画)と言われる。このコンティンジェンシー・プランでは、それぞれの予測される状況の変化に合わせた計画づくりをすることである。つまり、できるだけ多くのオルタナティブ(複数案)を考え出し、その中から慎重に検討して最適案を選択し、速やかに実施していくことが大切であるということである。

◇適切で迅速な計画変更の実行

 慎重に策定して実行したコンティンジェンシー・プランであっても、その後変化が生じた場合には、計画の変更をしなければならない。この場合に注意しなければならないことは、いかに適切に迅速に、その変化を受け止めるかということである。すなわち、その変化が現在の戦略展開にどのような影響を及ぼすのか、その利害はどの程度なのか、などをよく見極めたうえで、計画の変更をしなければならない。このような検討をしないで、安易に計画変更をすると、予期せぬ事態を招くことになり、それへの対応にムダな時間、労力、費用をかけることになる。(写真は、人脈作りは会食から。提供:日本経営管理教育協会)