日本経営管理教育協会が見る中国 第551回 ――磯山隆志

◆TikTokとは

 TikTokは中国の企業、「ByteDance」が運営する短編動画配信アプリケーションである。ユーザは自分が撮影した動画に、用意された様々な音楽や特殊効果の中から好みのものを選び、組み合わせて編集した15秒ほどのオリジナル作品を作成して、他のユーザと共有できる。作品が評価されて有名になり、影響力を持つまでになったユーザはTikTokerと呼ばれるようになる。

 TikTokの特徴としては、手軽に動画の作成・投稿が可能であると同時に、気軽に多くの動画を次々に視聴できるようにしたユーザインターフェースや、ユーザ一人一人の属性や行動に合わせて提供するコンテンツを最適化することのできるAIの活用が挙げられる。スマートフォンに適したこれらの特徴により、一人当たりの平均視聴時間は40分を超えるといわれている。

 2016年に中国でサービスが開始されてヒットし、現在では中国国内でも最大のユーザー数のアプリとなった。日本においても2017年にリリースされ人気となった。特に10代から20代の若者を中心に支持されており、2018年には新語・流行語大賞にノミネートされ、日経MJの2018年ヒット商品番付では横綱に選ばれた。また、世界的にもヒットしており、アメリカで無料アプリの月間ダウンロード数でトップになったとされるほか、全世界のダウンロード数においてもトップになったとされる。1カ月に利用したことのある月間アクティブユーザ数は1億人を超えるともいわれている。

◆中国で初めての世界的に成功したアプリとしてどこまで伸びるか

 ByteDanceはTikTokの成功により、先行していた同様のサービスを展開していたアプリ、Musical.lyを買収するまでになった。ByteDanceの企業価値は、ソフトバンクから出資を受けたことにより8兆円を超えたとされる。これにより、設立10年以内で評価額が10億ドル以上の未上場企業としては、Uberを抜いて世界で最も高い企業価値のスタートアップ企業になったとの報道もあった。

 しかし、一方で10代~20代の若者をターゲットとするアプリが共通で持つ課題として、いずれ飽きられてしまうのではないかと人気の継続について懸念する向きもある。TikTokは中国で初めて世界的なヒットとなったアプリともいわれる。この成功例から中国からだけでなく、アジアの各地域から新しいエンターテインメントや顧客体験を提供する様々なアプリが開発されることだろう。今後もユーザを獲得し囲い込むための競争が激化すると予想される。2018年に爆発的な流行となったTikTokが、2019年以降どこまで成長するのか注目したい。(写真は、スマートフォンを利用している光景。提供:日本経営管理教育協会)