日本経営管理教育協会が見る中国 第549回 ――三好康司

 2019年(平成31年)が始まった。4月30日には今上天皇の退位、5月には新天皇が即位され、元号も改められる。新元号となる2019年に予定されているイベントをいくつか調査していると「秋頃、ルーマニアで『トウキョウ駅』が開業予定」という記事が見つかった。ルーマニアの概況とともに調べてみた。

1.ルーマニアの概況

 ルーマニアは、東ヨーロッパに位置する国である。セルビア、ハンガリー、ウクライナ、黒海などと接しており、首都はブカレスト、人口は約1,976万人(2016年)である。ルーマニアといえば、大戦後のチャウシェスク大統領の独裁政治が思い浮かぶ。しかし、ベルリンの壁、ソ連邦の崩壊に続き、1989年ルーマニア革命により同政権が打倒され、民主化された。2004年にはNATO、2007年にはEUに加盟し、現在では経済成長率5%(2016年)を示している国である。

2.ルーマニアと日本の関係

 日本とルーマニアの関係は1902年にまで遡るが、第二次世界大戦でいったん断絶、1959年に国交回復し約60年を迎える。わが国は、体制転換後の民主化・市場経済化を支援するため1991年から経済協力を開始し,その後1996年のコンスタンティネスク大統領の訪日を機に円借款及び一般無償資金協力を実施した。また、2018年1月には、安倍総理が日本の総理大臣として初めてルーマニアを訪問している。外務省データによれば、両国間の貿易量は,日本からの輸出395億円,ルーマニアからの輸入525億円(2015年)であり,日本からは自動車部品,電気回路機器,自動車等を輸出し,ルーマニアからは衣類,木材,建築用木工品及び木製建具等を輸入している。多くの日本企業も進出しており、日本はアジア最大の投資国として、4万人近くの雇用を創出している。

3.なぜルーマニアに「トウキョウ駅」が?

 2013年3月の朝日新聞ニュースをみてみよう。「ルーマニアの地下鉄に『トウキョウ駅』。同国のコルラツェアン外相と岸田文雄外相が26日に東京都内で会談し、これまでの日本の途上国援助(ODA)への感謝の証として、2019年にできる駅の一つをトウキョウと名づけると発表した。ルーマニアはすでに日本のODA対象国ではないため、この地下鉄が最後の事業。首都ブカレスト郊外の空港とし中心部を結ぶ」と掲載されている。

 また、2018年1月の安倍首相のルーマニア訪問時の現地インタビューでは、安倍首相は「ルーマニアの方々には,是非『トウキョウ駅』の近くでショッピングを楽しみ,日本を身近に感じていただければと思います」と述べている。

 わが国の途上国援助(ODA)は、往々にして現地の人々に知られていないことがある。ルーマニアのような感謝の気持ちを持った国を重点的に支援するということも、わが国の国益に叶う一つの方法ではないかと思う。(写真は、ルーマニア国旗。提供:日本経営管理教育協会)