中国の5G(第5世代)移動通信サービスは2020年に商用化される予定で、現在、急ピッチで基地局をはじめとした5Gインフラ投資が進んでいる。5G投資額は基地局アンテナや光ケーブルなど中国全体で1兆1500億人民元(約18兆1700億円)規模に達すると予測され、「最低でも4G投資実績を50%上回る」と試算されている。既に実証実験が始まっている地域では、先行する「Internet of Vehicles(IoV)」(インターネットカー)や5Gドローンの商用利用など、近未来サービスが続々とお目見えするだろう。経済成長率の鈍化で刺激策が求められている中国の窮地を救う技術として5G関連技術が脚光を浴びそうだ。

 中国の3大通信キャリアが実験ネットワークの建設作業を急ピッチに進めている。中国聯通(チャイナ・ユニコム)は17都市に約600カ所の基地局を整備。最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)も17都市で実証実験に乗り出した。中国電信(チャイナ・テレコム)も、上海、蘇州などで5G実験ネットワークを完成させている。特に、首都・北京では3大キャリアが揃って実験エリアを開発し、海外向けのデモンストレーションも意識した活発な実証実験が繰り広げられている。

 もっとも専門家によると、現在建設されている5G基地局の多くは実証用で、5Gネットワークの大規模構築は始まっていない。大規模開発に移行すれば、その投資規模は4G投資を大きく上回る見通しだ。5G向けは、4Gよりさらに高い周波数帯の電波が割り当てられるため、広域エリアをカバーするために、より多くの基地局が必要になる。高周波数だと直進性がより高く、障害物に反射してしまうために広域エリアになかなか届かない性質をもっているためだ。

 中国の4G基地局数は17年時点で328万カ所、人口カバー率は99%に達した。5Gでもこれと同規模のカバー範囲を実現させるには、中・低周波数だけで最低でも475万基の基地局が要る。さらに高周波のミリ波帯は、カバー範囲が10~20メートルに過ぎない点を踏まえれば、5Gでは通常規模の基地局とは別に、小型基地局を最低2倍の950万カ所整備する必要があるという。

 ただ、政府や消費者は携帯通信料金の値下げを求めているだけに、通信キャリアは巨額設備投資の回収が遅れる可能性も否めない状況だ。このため、業界関係者からは「初期の5G設備は4Gとの共用が不可欠」との声が上がっている。

 工業情報化部が先ごろ割り当てた5G実験用周波数帯で、中国移動は2.6GHzの帯域幅を獲得した。これは中国移動が保有する4Gサービス向け周波数帯と近い。中国移動は5G専用ネットワークを設けずに、4Gと基地局を当初共用するとみられている。また、中国聯通と中国電信は、3.5GHz付近の帯域幅をそれぞれ割り当てられた。市場関係者の間では、2社が5G基地局を共用する可能性も取り沙汰されている。同2社を巡っては、以前に合併観測も浮上したこともあり、5G時代とともに統合が現実味を帯びるかもしれない。

 一方、通信機器最大手の華為技術(Huawei)は、深セン、北京、杭州、上海などに4G/5G共用基地局を整備。すでに大規模な実証実験を終えた。アメリカが目の敵にしていることでもわかるとおり、ファーウエイの4G/5G分野の技術力は抜きん出ており、アメリカに近い先進国の間でファーウエイ外しの動きが活発になっていることへの危機感からも、中国国内での5Gインフラ整備には実力を発揮したいところだろう。

 活発に発信されるであろう中国発の5G関連ニュースに注目したい。(イメージ写真提供:123RF)