中国は12月19日から21日まで中央経済工作会議を開催し、2019年の経済政策について、積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を継続する方針を確認した。米国との間で激化する貿易摩擦によって、輸出産業の先行きに不透明感が強まる中、国内の個人消費を一段と盛り上げて、経済減速に一定の歯止めをかけるべく動き出すようだ。

 今回の会議では、2019年が建国70周年の節目にあたることを強調。本来であれば、祝賀ムードを盛り上げたいところだったろうが、足元の情勢は楽観を許さない。改めて、「小康社会(適度にゆとりのある社会)」の全面的な実現を掲げて、各種の経済政策を実施することが重要との認識が示された。

 「3大堅塁攻略戦」と呼ばれる「金融リスク抑制」「貧困脱却」「環境汚染対策」については来年も継続し、「経済を合理的なレンジで推移させる」ことを基本政策としている。

 マクロ政策としては、「積極的な財政政策の効率をさらに引き上げ、大規模な減税・費用削減を実施し、地方政府が発効する債券の規模を大幅に増加させる」とされた。金融政策については、「穏健な金融政策を実施し、適度に緩和・引き締めを行う」とされ、やや緩和的な現在の方針が継続される見通しだ。

 具体的な重点課題として7つの項目をあげ、「製造業の質の高い発展を後押しする」「強大な国内市場の形成を促す」「郷村振興戦略を推進する」「地域経済の協調発展を促進する」「経済体制改革を加速させる」「全方位の対外開放を推し進める」「保障の強化、民生の改善を進める」とした。この中で、「強大な国内市場の形成を促す」という文言は、この12月13日の中央政治局会議で初めて登場したもの。米国との貿易交渉を進める上でも、魅力的な国内市場の育成は重要な政治的課題に位置づけられている。

 「強大な国内市場の形成を促す」ためのアクションとしては、(1)製造業の技術改良・設備更新を強化すること、(2)第5世代(5G)移動通信規格の商用化を急ぐこと、(3)人口知能(AI)やモノのインターネット(IoT)など新型インフラの建設を強化すること、(4)都市間交通、物流、市政インフラなどへの投資を拡大すること――などによって、消費市場の拡大を図る方針が示された。

 一方、製造強国をめざす国家戦略である「中国製造2025」については言及されなかった。米国との貿易摩擦緩和に向け中国が「中国製造2025」戦略について見直しを行うという一部の観測を裏付けた格好になったと解説する向きもある。

 最大の貿易相手国である米国(輸出では全体の19%が米国向け、輸入では8.4%、貿易総額で14.2%、2017年の通関ベース)との間で、互いに高率の関税を課し合うという対立が解けなければ、中国の貿易が大きなダメージを受けることは必至。中国のGDP成長率は、2018年の年6.5%前後から、19年には年6.0%前後に減速するという見通しも出てきている。この落ち込みをできるだけマイルドなカタチで抑え込むため、中国政府は強力な内需刺激策に打って出るようだ。(イメージ写真提供:123RF)