世界最大の自動車市場となり、本格的な自動車社会を迎えた中国では毎年多くの交通事故が発生しており、不幸な事故で命を落としてしまう人も多い。中国でも法律上は歩行者優先であるものの、多くのドライバーはクラクションをけたたましく鳴らしながら、歩行者に道を譲ることなく通り過ぎていく。

 中国メディアの今日頭条は20日、日本では歩行者優先が徹底されていることを紹介しつつ、日本の小学生が横断歩道を渡る際に「停まってくれた車にお辞儀をしつつ、手を上げて道路を渡る」という行為が中国ネット上で「前代未聞のバッシングを受ける結果になった」ことを紹介する記事を掲載した。

 記事は、日本では横断歩道に歩行者がいた場合に、車のドライバーは横断歩道の手前で一時停止することは多くの中国人が知っていることであると紹介。また、日本では小学生などが横断歩道を渡る際に手を上げて横断するが、これは「子供がドライバーに自分の存在を知らせるうえで非常に有効である」と伝えた。

 続けて、中国でも「道路を歩く際に手を挙げる」という日本と似たような取組みをしている地域があり、それは中国内陸部にある貴州省であると紹介。貴州省は中国でも特に立ち遅れた地域であり、その多くが山岳地帯であって多くの道路が山道で曲がりくねっていて、車のドライバーから歩行者が発見しづらい環境にある。そのため、2004年に地元の教育局が子どもに対して「車が近づいてきたらその場で立ち止まり、手を挙げて『敬礼』するよう定めた」と紹介した。

 車に対して「敬礼」させるという目的はあくまでも「車の運転手に対し、道路に子どもがいることを伝えること」だったようだが、子どもに敬礼を義務付けるとした貴州省の取り組みに対し、当時ネット上では「奴隷教育だ」、「子どもの人格を侮辱する行為だ」と前代未聞のバッシングが寄せられたという。記事には貴州省の子どもが車に敬礼している様子を写した写真が掲載されているが、子どもたちは道端に立ち止まり、車に向けて軍人たちがするような敬礼を向けている。

 過去に物議を呼んだ「敬礼」を行う取り組みだが、果たして交通事故を減らすという効果はあったのだろうか。記事によれば、子どもの方から礼を示すことで、車のドライバーも礼を示すようになり、この取り組みを導入してから交通事故で犠牲になる子どもの数は明らかに減ったのだという。現在でも貴州省では各地でこうした光景を見ることができるようだが、事故が減ったことで「ネット上のバッシングは今では称賛に変わった」と伝えている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)