日本経営管理教育協会が見る中国 第546回 ――下﨑寛

 最近、中国では、香港から珠海まで全長55kmからなる世界最長の海上橋(港珠澳大橋)が完成した。その大橋は、2009年12月に着工し、当初2016年に完成予定であったが、2年遅れて2018年10月23日に竣工した。完成日には習近平国家主席も参加して盛大に完成記念祝賀会が開催された。

 そこで、12月にこの香港大橋を見学に行ってきた。

 この香港大橋は、片道3車線合計6車線の自動車専用道路であり、香港側は港珠澳大橋香港口岸が起点となり、香港市街地と香港国際空港を繋ぐ北ランタン高速道路に連結されている。中国側は、マカオと珠海の近くに人工島を設置し、その人工島からマカオと珠海へと分岐して行かれるようになっている。香港とマカオ・珠海側では、シャトルバスが常時運航されており、ピーク時では、5分間隔で24時間運航されており、今までは、香港マカオ間がフェリーで1時間かかったところ、この大橋ができたので40分間程度で行けるようになった。

 なお、1国2制度の香港であることから、単純に行き来できるのではなく、中国語で「三地三検」といわれているように、香港・マカオと中国珠海で入出国の手続が3回必要となる。したがって、香港珠海間は40分で行けることとなったが、入出国の入管手続きに早くて1時間、混雑しているときは3時間程度かかり、今後は、その問題は解消されるものと思われるが、現実的には非常に面倒であり、非効率になっている。

 この大橋ができたことにより、香港マカオと中国珠海との間に経済交流道路ができた。この大橋は、一帯一路の精神に基づくといわれている。

 中国珠海市においては、この大橋による経済効果を期待して、市内の中心地では再開発が盛んに行われており、新築高層マンションが工事中である。その高層マンションは分譲されるといわれているが、果たしてエンドユーザーに売れるのではなく、不動産投機の対象となるのではないかと危惧される。さらに、産学官によるIT関係の大学、研究所も開設し、外資の受け入れに熱心である。しかし、その開発は、外資頼みであり、不安が残る。

 バスで大橋を通行すると、海上橋においては、風景を見やすいようにフェンスが低くなっているが、そのフェンスも強度が不安であり、フェンスに車両が激突するとバスが海に転落する可能性が高い。さらに、大橋の建築中、大橋のコンクリート強度の偽装問題が発生しており、その大橋の強度が信頼できないこともあるので、そのような事故が起こらないことを祈るしかない。

 総工費は1兆6000億円超とされる。中国のインフラの極致の大橋である。しばらく様子を見たい。(写真は、香港大橋入管。提供:日本経営管理教育協会)