日本経営管理教育協会がみる中国 第545回 ――宮本邦夫

 中国で注目されたシェア自転車事業を日本でも導入する自治体が相次いだが、ここにきて大津市、和歌山市、北九州市などで、提携先の中国企業が急に撤退したために、困惑している様子が新聞等で報じられている。つまり、シェア自転車の提携事業に失敗したわけであるが、なぜ失敗したのか、その原因を探ってみよう。

◇新しいビジネスモデルを安易に受け入れたのではないか?

 シェア自転車ビジネスは、中国においてもほんの数年前に始まった事業で急速に広がった新しいビジネスモデルであり、多くの企業が参入して過当競争状態に陥り、倒産するところも相次いでいる。そのような中でも、摩拝単車(モバイク)、北京拝克洛克科技(ofoのブランド)の大手2社は、業績を伸ばし、東南アジアを初めとして世界各地に進出した。日本にも、この2社が上陸してきたわけであるが、受け入れ側は、中国やその他の国でシェア自転車が拡大していく状況を見て、時勢に乗り遅れまいとして、この新しいビジネスモデルに安易に飛びついたために、失敗したのではないかと思われる。

◇運営法について十分にチェックしなかったのではないか?

 何か新しいものを導入する際には、その運営法をよく調査・研究して、それを本当に受け入れてよいものかどうかを入念にチェックすることが求められる。シェア自転車事業であれば、どのような運営システムになっているのか、そのためにどのような経営資源を使っているのか、経費はどれくらいかかっているのか、などについてよく調べて導入すべきか否か、相手と提携すべきか否かを判断することが必要である。シェア自転車事業の提携に失敗したところの多くは自治体であり、企業のように、こうしたチェックを十分に行ったのかどうか疑問視されるところである。

◇相手に全面的に依存していたのではないか?

 新しいビジネスモデルを展開している企業と提携する場合には、受け入れ側としては、その事業の運営ノウハウを有していないために、運営のほとんどを相手に依存することになる。だが、このような全面依存では、相手が撤退すると、その事業を継続していくことが不可能になる。提携して事業を展開する場合には、相手に全面依存することは回避することである。撤退する相手に責任をすべて負わせるわけにはいかない。受け入れ側にも当然のごとく経営責任があるので、運営法について、それなりに理解し習得して経営に当たることが要請される。(写真は、東京の自転車シェアリング。提供:日本経営管理教育協会)