香港証券取引所のIPO(新規上場)による資金調達額が2018年は、世界トップをNY市場から奪還した。2015年、16年と世界トップだった香港は、17年はNY、上海、ロンドンに次ぐ第4位に後退したが、2018年4月に上場ルールを緩和する刺激策を打ち出し、世界一に返り咲いた。ただ、中国の景気減速や米中の貿易摩擦などが嫌気され、IPO銘柄の上場後の株価パフォーマンスは低調だった。この上場後の株価低迷は、来年のIPO市場の成長に大きなマイナスの影響を与えそうだ。

 調査会社Dealogic社の集計によると、18年12月10日時点で、香港市場でのIPOによる資金調達額は約314億ドル(約3兆5520億円)となり、同時期のNY市場の309億ドル(3兆4160億円)を上回った。ほぼ、年内の上場予定企業は出尽くしていることから、2年ぶりに香港が世界一のIPO市場に返り咲くことは確実だ。

 香港証券取引所は、今年4月に上場ルールを改訂。「種類株」(議決権の付与割合の異なる株式)を発行している新興イノベーション企業や欧米市場にプライマリー上場している新興イノベーション企業、また、現時点で収益を出していないバイオテクノロジー企業などの新規上場を認めた。この結果、種類株を発行している企業第1弾としてスマートフォンメーカーの大手であるシャオミ・コーポレーション(小米集団:01810)が7月9日に上場。同じく種類株のある企業として、飲食店レビューやデリバリー事業を手がける美団点評(メイトゥアン・ディエンピン:03690)が9月20日に上場した。

 小米集団の資金調達額は54億ドル(約6000億円)、美団点評は42億ドル(約4700億円)の大型上場になった。

 ただ、これら大型上場企業も含め、IPO銘柄の株価低迷が目立つ1年でもあった。小米集団は、公募価格17香港ドルだったが、上場直後に22.20香港ドル(7月18日)の高値を付けたものの、10月30日には11.40香港ドルまで下落。12月になっても13.50香港ドル前後で低迷している。美団点評も、公募価格69香港ドルに対し、高値は上場翌日の74香港ドルで、10月31日には49.45香港ドルの安値を付け、12月の株価は52香港ドル台に低迷している。

 この12月には17日までに13社の新規上場があったが、うち7社は公募価格割れで上場し、5社は公募価格と同値で初値を付けた後で下落。12日にGEM市場に上場したメトロポリスキャピタル以外は、公募に応募して喜んだ投資家はいない状況だ。

 経済発展に伴って、様々な新興企業が生まれ、成長している中国では株式の上場意欲が強く、かつ、巨大な消費市場を抱える中国本土への窓口としてアジアの企業も香港への上場をめざしているため、香港市場への上場希望は依然として数百社にのぼるといわれている。ただ、IPOの成立のためには、供給側と同じように、株式に投資する需要の動向も重要な要素になる。IPOに応募しても、その後、一度も収益化の機会もなく、投資損失ばかりが重なるようであれば、IPO人気は一気に離散しかねない。活況にわいた香港のIPO市場が正念場を迎えているといえよう。(イメージ写真提供:123RF)