中国と米国の間で金利が逆転し始めている。中国政府系メディアが20日付で伝え、国民に周知を図った。逆転したのは1年物国債利回りなど、比較的期間の短い国債の利回り。長期金利の目安となる10年国債利回りは、中国では現状3.38%前後、米国が3.08%程度で依然として中国が高いが、この長期金利についても2019年3月には逆転するという見方が優勢になっているという。

 1年物国債の利回りが米中で逆転するのは2008年以来10年ぶりのこと。11月16日に中国国債の利回りが一時2.53%に低下する一方、米国国債は2.68%で推移し、中国国債の方が15ベーシスポイント下回った。すでに、より短期の3カ月物、6カ月物の国債利回りは米国国債の水準を下回っている。

 この短期国債利回りの逆転現象は、米国が政策金利を段階的に引き上げていることの影響。2015年末にスタートした米国の利上げは、2018年9月までに8回を数え、政策金利であるフェデラル・ファンド金利は2.00%~2.25%の水準を目標誘導水準としている。これに対し、中国は金融緩和(金利引き下げ)政策を実施している。

 人民銀は今年10月15日、市中銀行の預金準備率を1.0ポイント引き下げた。預金準備率の引き下げは今年4回目。米中貿易摩擦の激化を受けて景気の下振れ圧力が強まるなか、経済の安定成長を維持する狙いで大手行の標準的な準備率は15.5%から14.5%に低下した。人民銀によると、今回の準備率引き下げで正味7500億人民元(約12兆4200億円)の資金供給効果が見込まれるという。この資金供給効果は、今年最大の規模になる。さらに、19年1月にも預金準備率を1.0ポイント引き下げる見込みだと専門家は予測している。

 今月末には米中首脳会談が開催される見通しだ。すでに、中国は米国に対して142項目の部分で譲歩することを文書で米国側に伝えているようだが、それに対する米国からの返答は明らかではない。米国は、中国からの年間輸入額の2分の1に相当する2500億ドルの輸入品に対して高額な関税を課し、中国の対応によっては、さらに2670億ドル相当の輸入関税を課す用意があるとしている。この第4弾の追加関税策が実施されれば、中国から米国への輸出の全てがストップすることになり、中国経済に与える影響は甚大なものになろう。

 このため、米中首脳会談の結果によっては、中国は一段と経済対策のための金融緩和を実施することも予想される。そうなると、長期金利の米中逆転は来年3月を待たずに実現するかもしれない。

 このところ、人民元の対ドルレートは、1ドル=6.9元後半の元安水準でもみ合っている。今年4月ごろには6.3元まで元高が進んでいたところから、米中の間で貿易に関する関税合戦が進むにしたがって人民元がジリジリと下落してきた。もはや、1ドル=7元に乗せるような元安は不可避との見方が強まり、「2019年には7.5元に向かって元安が進む」という見方もある。19年には中国の経常収支が24年ぶりに赤字に転じるという予測が元安見通しの背景だ。このような元安の見通しは、中国に対する投資意欲を一段と減退させることにつながりかねず、中国経済の先行きを一層厳しくするものとみられている。(イメージ写真提供:123RF)