日本経営管理教育協会が見る中国 第542回 ――水野隆張

◆ペンス米副大統領の演説はチャーチル首相のソ連を批判した「鉄のカーテン」演説に匹敵し、「米中新冷戦」の始まりとの見方も

 1972年のニクソン訪中以来の対中融和政策は、このペンス副大統領の演説で決定的に転換されることになったようだ。

 この演説では貿易赤字などの経済問題に限らず、政治、軍事、人権問題などまで多肢に及び包括的な内容となっており、両大国が覇権を争う対決の時代に入ったことを印象づけることとなった。経済的に豊かになれば国民は政治的な自由を求め、やがて中国にも民主主義が広がるという米国の歴代大統領の立場も、世界第二位の経済大国になった後も、中国で政治的自由化が進んでいるとは見受けられない。

 さらには、1946年、チャーチル首相が首相退任直後の演説でソ連を批判した「鉄のカーテン」演説に匹敵し、「米中新冷戦」の始まりとの見方も広まっており、米国が覇権主義的な中国の封じ込めに入る兆しとも受け止められている。

◆貿易赤字などの経済問題に限らず軍事、外交問題等についても幅広い警戒感をも表明している

 特に、米国から最先端技術を盗み軍拡に用いており、米国の軍事的な優越を傷つけて、更に太平洋地域から米国を排除し、同盟国支援を妨げようとしていると述べ、日米同盟などの分断を図っていると非難している。さらには、尖閣諸島は日本の施政権下にあると言明し、南シナ海ではオバマ前大統領との約束を破って人工島の軍事化をしたと批判している。また、中国がアジア、アフリカ、中南米諸国にインフラ整備を理由に巨額の融資をして、意のままに操ろうとする「借金漬け外交」を展開し、軍事基地などを得ようとしている警戒感をも表明している。

◆打算的に対日接近を図る中国に対しては日本の国益を守る立場から安倍政権が毅然として対応を図るべきことを期待する

 米中対立により、米国が中国への技術移転に警戒感を強める中、中国側には日本への接近で米国を牽制するとともに、米国からの技術協力が難しくなる事態に備えての狙いから、安倍晋三首相の訪中を要請して両国の経済協力拡大を話し合う方針を決め、打算的な対日接近を狙っている。

 以上のような情勢からみて、今後米中対立は長期化するものと見受けられる。日本の立場としては、両大国の間にあっては、中国が覇権主義的に振る舞うことは日本にとっても望ましくないことなので安倍政権としては同盟国米国と対中政策で協力することは勿論のこと、今のところ守勢に立って日本に接近してくる中国に対して安易に妥協することなく日本の国益を守る立場から毅然として対応を図るべきことを期待する次第である。(写真は、どうする日本の立場。提供:日本経営管理教育協会)