習近平国家主席による大胆な市場開放政策は、米中貿易摩擦という外圧も受けつつ、粛々と進んでいる。中国は、主要な産業について外資の参入を制限してきたが、この外資の出資規制を徐々に緩め、最終的には撤廃しようという動きが続いている。自動車業界では、今年7月に新エネ車に関する外資規制が撤廃され、2020年にはトラック等の商用車、2022年には乗用車も含めて完全撤廃される予定だ。中国メディアの21世紀経済報道は、「中国の自動車産業はまもなく『ポスト合弁時代』に入る」と外資の台頭に警戒感を強める中国自動車業界の現状を伝えた。

 今年6月28日に中国国家発展改革委員会と商務部が公表した規制リスト(2018年版)では、外資の出資が制限、または、禁止されている業界の数が48に減った。従来は63だった。核燃料および核放射線加工産業、通信機器の製造(衛星テレビ放送地上受信設備)、原子力発電など、外資の参入を禁じている業界もあるが、自動車製造については外資規制を徐々に撤廃する計画を明らかにし、証券業や保険事業については、外資が51%出資することを既に認め、2021年までに出資規制を完全に撤廃する計画を明らかにしている。

 外資出資規制の完全撤廃を2021年に控えた金融業界、22年に控えた自動車産業は今後、産業構造の再構築が起こると考えられている。自動車業界においては、中国自主ブランド車メーカー、既存の合弁車メーカー、外資が出資マジョリティを握る新種の合弁メーカー、外資単独出資メーカーなどが混在する競争時代が幕を開けると目されている。

 中国の規制緩和に海外自動車勢の反応も出始めた。まず、電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、単独出資で上海に米国外初の工場を整備する計画を公表している。また、独BMWは、中国合弁企業である華晨宝馬(華晨BMW宝馬)への出資比率を2022年までに現在の50%から75%に引き上げると発表した。中国汽車工程学会の付于武・名誉理事長は、「これらが個別ケースにとどまることはない」と断言し、グローバル大手が次々に中国市場に対して積極的な投資策を表明するだろうと見通している。

 一方、業界内では「合弁企業は当面、グローバル企業が中国事業を展開していく上での主要な形式として存在し続ける」との見方も根強い。事実、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)などは、「当面は中国合弁企業の出資比率を変更する予定はない」とそろって表明した。業界では日系をはじめとした有力な自動車メーカーが、どのような態度で中国市場に取り組むのかを注視しているところだ。

 2018年の新車販売台数は、当初見通しの年間3000万台という大台突破の見通しが下方修正されたものの、中国の自動車市場は世界最大。一方で、一時期の日系車や韓国車のボイコットなど、消費者の志向が極端に振れることもある。それだけに、実績のある日系企業も消費者の反応については慎重に判断しようとするだろう。政府の規制は規制として、最終的には乗用車の販売を左右するのは消費者だ。(イメージ写真提供:123RF)