日本経営管理教育協会が見る中国 第541回 ――坂本晃

◆日本人は世界的には無宗教

 世界人口73億人の中で、信者の多い順でキリスト教30.1%22億人、次いでイスラム教22.0%16億人、3位はヒンズー教13.7%10億人、4位中国の民族宗教、5位仏教5.1%3.8億人、その他とのデータがある。

 日本人は世界的に見れば無宗教との見方がある。日本古来の神道とインドから中国経由でもたらされた仏教とその一部ともいえる創価学会など、普及はしなかったがキリスト教があり、多くの日本人は場面に合わせて活用しており、キリスト教やイスラム教のように一神教でなく、多神教という特徴がある。

◆神道

 神道は伝説的ではあるが八百万の神、大陸との交流が原点ともいわれている大国主命を祭り、後に大和朝廷に従ったとされる出雲大社と天照大御神を祭る伊勢神宮(内宮)が、後に天皇家の先祖と言われる前600年台の初代神武天皇へと繋がり、連綿として現代に至っているといわれている。

 農業が経済の中心であった時代は、各地に神社が設けられ、五穀豊穣を願い、お礼をするお祭りが各地で催されてきた。明治維新から第2次大戦終了までは、義務教育を含め、神道が活用された。

 現在は日本全国で8万8千社の神社があるといわれているが、経営は初詣のお賽銭以外に多くは期待できず、経営者である神主さんが常駐できているのは2万社ていどといわれている。ちなみに日本で一番新しい神社と思われる明治天皇を祭る東京の明治神宮は初詣で日本一13億円のお賽銭が集まるとネットでは報じられている。

◆仏教

 世界遺産である奈良の東大寺は8世紀に当時の天皇が建立するなど、仏教が政治に密着した時代があった。同じく世界遺産の法隆寺は木造建築物としては世界で最古とされ、国宝となっているなど、仏教の建築物やお寺に祭られる仏像は文化財として、現在では観光の目玉として活用されている。

 第2次大戦後、制定された平和憲法で政治と宗教は無関係と定められ、信教の自由を保障され、同時に宗教に税金を使用できないことになっている。

 一般的な日本人にとり、仏教はお葬式に活用されることが多く、先祖のお墓をお寺に置いているのが一般的であるが、墓地は公営や私営の霊園もあり、最近はビジネスとして霊園を経営する組織もある。

 日本のお寺の数は、神社よりは少なく、7万7千寺と言われている。経営者であるお坊さんは、亡くなった時につけてもらう戒名料、お葬式や年忌などでいただけるお布施、墓地の維持費などが主な収入で非課税である。

 都会では、お寺の空き地にマンションを建築し、家賃収入や駐車場料金で課税される収入を得られるが、地方ではそうした収入も少なく、お坊さんがいないお寺も増えているのが現実である。

◆日本人の宗教を利用したイベント

 12月31日の除夜の鐘はお寺で、1月1日元旦ではお寺と神社への初詣でお賽銭が期待され、流通関係者は門前市が行商の機会となる。お盆は8月半ばで先祖の墓参りで帰郷して親族が顔を合わせる、正月と合わせて年中行事といえよう。交通機関の稼ぎ時でもあり、高速道路の渋滞も話題となる。これらは中国の春節と同じ現象である。

 12月25日と前夜のクリスマスイブ、年末商戦と合わせてビジネスにとりかき入れ時である。バブル崩壊でも1990年台のクリスマスイブは、若い世代にとり絶好のデートの機会であった。

 結婚式は神前、仏前に加えて、キリスト教教会も人気が高い。

 お葬式は仏教、神道、キリスト教それぞれで行われ、仏教形式が一番多いと思われるが、最近は高齢化で家族だけでつつましく行う傾向がみられ、葬祭関係ビジネスにとっては厳しいといえよう。(写真は、観光客で賑わう東京浅草の浅草寺。提供:日本経営管理教育協会)