自動運転やIoT(モノのインターネット)時代の通信インフラとしてIT先進国で整備が進む5G(第5世代移動通信システム)のライセンス交付が中国でも具体化してきたようだ。この分野で世界最速の米国では年内にも5Gで使われる高周波数帯のオークションが実施される見通しになっているが、19年以降とみられていた中国でも前倒しで年内に5G移動通信事業ライセンスが発給されるとの観測が浮上している。

 中国工業情報化部・IMT-2020無線技術工作組の粟欣組長が、第6世代(6G)移動通信システムの研究が今年すでに始動していることを明らかにしたと、中国の複数のメディアが12日に一斉に伝えている。

 粟組長によると、中国だけでなく、米国、ロシア、欧州連合(EU)なども6Gの研究開発に着手。6G技術は理論上、毎秒1テラバイト(TB)の通信速度を実現することができるという。2020年には研究開発が本格的にスタートする見通しで、30年の商用化が見込まれているという。この中で、5Gライセンス発給の前倒しも伝えられた。

 現在のところ、発給される5Gのライセンス数は不明だが、3~4社となるもようで、国有3大キャリアに加えて、中国広播電視網絡公司の名前が候補に挙がっている。

 5Gに関して、中国政府は商用化の時期を1年前倒し。当初は20年の商用スタートを目指していたが、19年に大規模なプレ商用展開を推進するようスケジュールを練り直している。工業情報化部・通信発展司の聞庫司長は、「5G開発は攻めの段階に入った。18年は翌年の5Gプレ商用に備える準備年だ」と述べているという。

 2020年は、日本も東京オリンピック・パラリンピックを舞台として、5Gの商用化を広く世界にアピールすべく準備を進めているところで、日本では19年3月にも高周波数帯の割り当てが発表されるという見通しになっている。

 5Gについては、米国と韓国が先行し、中国は日本の計画とほぼ並行して商用化を進める2番手グループに入っていたが、それを前倒してトップグループに伍して環境整備を進める見通しのようだ。

 中国の5G関連で、業界をリードする立場にあった中興通訊(ZTE)や華為技術(ファーウェイ)が、米国から「米国の安全保障を脅かす中国ICT企業」と名指しされ、5Gの環境整備で先行している米国市場から締め出されている。オーストラリア政府も米国の決定を受け、国内通信事業者に対して、ファーウェイとZTEの5G向け機器の調達を禁止している。

 中国政府が自国内での5G通信網の整備や6Gの研究開発を前倒しで進める決定をした背景には、米国との間で激しく争っているIT覇権争いについて一歩も引かないことを改めて表明するものともとらえられる。(イメージ写真提供:123RF)