「自動運転」が近年のトレンドワードに上がってきているが、現在の日本で発売されている最新モデル車に搭載されているのは「運転支援技術」といわれる「レベル2」に位置づけられるもの。米国のSAE Internationalが定義した自動運転の水準は、「レベル0」(ドライバーが全てを操作)から「レベル5」までの6段階。日本は世界的に見て自動運転への取り組みが遅れているといわれるが、電気自動車の普及に前のめりになっている中国では、2019年には「レベル4」水準の自動運転車が湖南省長沙市の市街地を100台もが走り回る見通しになった。

 自動運転開発プロジェクトを推進する中国IT大手の百度(バイドゥ)は10月29日に、湖南省長沙市と包括提携協定を締結し、長沙市を自動運転と「V2X」(車車間通信と路車間通信)のイノベーションモデル都市として整備すると発表した。百度が開発中の自動運転システム「Apollo(アポロ)」と、長沙市に構築された「インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)」産業基礎を融合させ、「自動運転都市」として先行的に発展させるとしている。

 バイトゥは長沙市の指定エリアで「Apollo」システムを活用した自動運転タクシーの大規模実証実験を展開し、2019年までにテスト車両100台を投入する計画だ。また、閉鎖ゾーンや観光地などで、百度が開発した世界初とされる「レベル4」商用自動運転バス「阿波龍(Apolong)」を順次投入していく。

 「レベル4」は、特定の場所で、システムが交通状況などを把握して全てを操作する。緊急時の急ブレーキ等の対応もシステムが行う。10月5日に欧州で販売開始された「アウディ A8」は世界発の「レベル3」の自動運転車として注目を集めた。「レベル3」の自動運転中には、車が主体的に運転し、ドライバーはアクセルから足を離し、ハンドルを握っている必要がない。ただし、緊急時にはいつでもドライバーが運転を変わる用意をしている必要がある。「レベル4」になると、自動運転のエリアは限定されるものの、ドライバーは運転をする必要がまったくない。「レベル5」では、場所を限定することなく完全自動運転になる。

 バイドゥはスマート交通分野でも長沙市に協力する。道路側の信号や監視カメラ、各種センサーと自動車の間でV2I(路車間通信)ができるインフラ環境を共同整備する方針だ。このV2Iを官主導で大胆に進めることができる点が、中国の自動運転分野での成長を先行させる要因といわれている。

 長沙市は自動運転の分野で、北京市、上海市などとともに、中国の先行都市と呼ばれている。今年6月12日に稼働した「湖南湘江新区スマートシステム実験区」は、5GベースのV2X(車とモノとの通信)システムを備えた閉鎖式自動運転テストコースの中で、テストパターン最多、コース最長7.8kmを誇る。すでにオープンから4カ月間に10社以上が180回あまりの車両走行テストを実施し、自動運転技術開発のメッカといえるエリアだ。長沙市には日系メーカーでは、三菱自動車が広州汽車集団と合弁で設立した広汽三菱が本拠地としている。(イメージ写真提供:123RF)