現在、東アジアで使用されている漢字は大きく3つに分かれる。源流ともいえる、台湾や香港で使われる繁体字(正体字)、これを大胆に簡略化した、中国大陸で使われる簡体字、その中間と言える日本の漢字だ。日本人からしてみると、繁体字は煩雑に思えるが、簡体字は略しすぎてて分かりづらい、というのが正直なところだろう。

 中国メディア・東方網は10月31日、日本と中国大陸で簡略化された漢字が大きく異なる理由について解説する記事を掲載した。

 記事は、漢字の簡略化について、日本では1946年に正式に移行され、中国で簡略化の動きが始まった時期より10年早いと紹介。そして、日本と中国では簡略化の準備や原則で大きく異なる点が2つあるとしている。

 まずは、「日本では簡略化する前に十分に準備を行い、その対象を一般で使用する漢字に絞るなどの工夫をしたのに対し、中国ではなし崩しに簡略化を行った」という点を挙げた。日本では46年に1850文字からなる「当用漢字表」が、51年に92文字からなる「人名用漢字別表」が発表され、この範囲で簡略化が施されたと紹介。「改造」する範囲を研究のうえで絞り、伝統的な漢字の文化やその体系をできる限り壊さない配慮がなされたことを伝えた。

 次に、「日本の漢字では同じ『へん』や『つくり』を統一的に簡略化することを重視したのに対し、中国では『民間で通俗的に用いられている簡略法』を重んじたことで、もともと同じ『つくり』だったものがバラバラに簡略化され、体系的に大きな混乱を生んだ」と指摘。その例として、簡体字では「溝」のつくりが「勾」に、「講」のつくりが「井」になってしまったことを挙げている。

 記事はさらに、簡体字では大胆な簡略化によって用いる漢字の数が減り「1つの文字が複数の文字を代替する」という現象が生じ、漢字が持つ表意文字としての意味合いが大きく破壊されたとし、その例として、もともと小麦粉を表わす「麺」を、意味の全く異なる「面」という漢字に簡略化したことを紹介した。

 記事は、「簡体字の弊害を指摘するのは、漢字の簡略化に反対するからではない。ただ、今使っている簡体字は粗雑な改革の産物で傷だらけのものであり、修復が必要だということを知ってもらいたいだけなのだ」と結んでいる。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)