日本経営管理教育協会が見る中国 第539回 ――坂本晃

◆2018年の日本人の平均寿命

 世界の中で香港(人口739万人)が第1位の84.227歳、次いで日本(人口1.268億人)第2位の83.985歳、中国(人口13.86億人)は、187地域中第58位の76.252歳と報告されている。GDPを合計すると世界の9割を占めると言われているG20(アメリカ、EU、日本、中国など)の中では20カ国中で日本は第1位、中国は第12位である。

 ではいつ頃から日本人の平均寿命は延びてきたのであろうか。1920年代は42~43歳程度、第2次大戦終了後の1947年は、男性50.06歳、女性53.96歳で、当時の定年年齢55歳は生涯雇用される証しでもあった。1960年ごろの高度経済成長期から徐々に伸び始め、定年年齢も60歳から更に実質65歳の現在に至っており、年金財政の見地から70歳からの年金支給開始年齢への延長を考慮しつつ、定年も70歳へ生涯現役を目指して延長されよう。

 日本人が平均寿命を延ばせた理由は、いくつか報告されている。

1.遺伝的

 有色人種は環境適応能力に優れ、紫外線に白色人種よりも強く、寒さに黒色人種よりも強いといわれている。

2.食生活

 他の先進諸国に比べて脂肪の摂取量が大幅に少なく、米を主食として炭水化物の摂取量が多く、国土が四面海に囲まれて魚や貝の摂取が容易であることが理由ともされている。

3.健康保険制度

 第2次世界大戦以前は一部の従業員しか加入できなかった健康保険制度か、1961年に全国民を対象にした保険制度が国民皆年金制度とともに開始された。保険は、なにか事故、海難、病気、火災さらには高齢もその対象とする考え方で、西暦前から始まったといわれている。

 その保険を管理する組織として、健康保険の場合は、現在では被用者保険として大企業の健康保険組合、中小企業の協会けんぽ、それに、自営業者などの国民健康保険、75歳以上が一律加入する後期高齢者医療制度に分かれて、被保険者が会社側負担と合わせて保険料を納付し、全国的にプールする仕組みを導入、被保険者、つまり、国民はだれでも保険証をもつことで、自己負担原則3割で、原則どこの医療機関でも医療を受けることができる。しかも自己負担が高額になった場合は、さらに保険で補填され、日本人の平均寿命の長寿化に大きく役立っている。

4.医療技術の発達

 江戸時代から中国から漢方を中心とした東洋医学が導入されていたが、明治維新とともに西洋医学も導入され、これがビジネスとしても有効なため、医療技術が大きく発達し、さらに将来へ向かってさらなる進歩が期待されている。死亡原因の多くを占める脳血管疾患、心臓病、がんなどには国をあげての研究が進められている。ノーベル賞の受賞も輩出している。

5.乳幼児死亡率が世界で最低に近い

 第2次大戦後、日本国あげての健康維持、とくに伝染病予防のための施策として保健所が地方自治体に設置された。その役割は感染症対策、エイズ・難病対策、精神保健対策、母子保健対策である。母子保健対策では乳幼児に対する予防接種が各種行われ、乳幼児の死亡率の低さが世界193地域中、第189位、乳幼児1000人に対してわずか2名という結果になっている。ちなみに最悪の第1位は中央アフリカで88.5人が幼い命を失う一方、1.6人というアイスランドがトップの第193位で、日本もまだ改善の余地が残されている。

◆健康寿命の変遷

 日本では平均寿命の83歳に対して、健康寿命は74歳とされている。

 日本国としては2000年に健康日本21と題した政策を策定、生活習慣病及びその原因となる生活習慣等の課題について、9分野(栄養・食生活、身体活動と運動、休養・こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がん)ごとの2010年度を目途とした「基本方針」、「現状と目標」、「対策」などを掲載した。

 その後、高齢者が医療や介護が必要にならない健康寿命の延伸で、国として2015年に新オレンジプランを策定、今後増加が見込まれる認知症対策に力を注ぐことにしている。(写真は、太極拳に勤しむ中国婦人。提供:日本経営管理教育協会)