香港と広東省の珠海、そして、マカオを結ぶ「港珠澳大橋」の開通式典が23日に開催されることが決まった。珠海で行われる式典には、習近平国家主席が出席するもようだ。港珠澳大橋は主橋部(22.9km)、海底トンネル(6.7km)などから成り、全長は55kmと世界最長クラス。米国のシリコンバレーのようなハイテクメガロポリスを構築する「粤港澳大湾区」の重要なインフラとなる。

 港珠澳大橋によって、珠海から香港までの所要時間は、従来の4時間から約45分に短縮される。開通後には、1日あたり約2万9000台の車両(バスやトラック等)が行き来する動脈になると期待されている。香港と広東省の間では、この9月に香港・西九龍駅と深セン北駅をわずか17分で結ぶという「広深港高速鉄道」が営業開始したばかり。香港は隣接する広東省の経済圏にガッチリと組み込まれ始めている。

 中国政府が構想する「粤港澳大湾区」は、珠江デルタ地帯の9都市(広州、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、仏山、江門、肇慶)と香港、マカオの経済連携を強化し、先進産業の集積や貿易の拡大などを図ることを目指している。港珠澳大橋より内陸部に、深センと中山をつなぐ「深中通道」と呼ばれる大橋が2024年の完成を目指して建設が進んでいる。このエリアの人口は約5000万人だが、大湾区開発投資によってエリア人口6700万人、経済規模1兆ドル(約112.5兆円)の巨大な経済圏になるとの試算もある。

 深センには、インターネットの巨大企業であるテンセント(騰訊)、スマートフォンメーカーのファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)やZTE、世界最大のドローンメーカーであるDJI(大疆創新)などが本拠を置くなど、インターネット関連企業が集積している。ここに、香港の資本市場、そして、マカオのカジノを加えて、一体的な開発を進めるのが「粤港澳大湾区」構想だ。ちなみに、香港(西九龍駅)までつながった高速鉄道は、北京(北京西駅)や上海(上海虹橋駅)とも直通列車がある。北京、上海までは、いずれも2000km以上の距離があるが、9時間以内で結んでいる。したがって、香港-マカオを結ぶ「港珠澳大橋」の開通は、エリア一体化を象徴する出来事といえる。

 これまでの報道によると、「港珠澳大橋」の開通式典に出席する習主席は、式典出席にあわせて広東省の視察も計画しているという。習主席の広東視察は、保護主義色を強める米国を意識した側面がある。米国が締め出したZTEやファーウェイが本社を置き、現在の米中貿易戦争の発端となった地域ともいえるのが広東省だ。広東視察に際し、習主席が対外開放など貿易に関する新たな指針を示すかどうか、市場関係者は注目している。(写真は、港珠澳大橋。提供:123RF)