米国と貿易戦争を繰り広げている中国で、最大規模を誇る商談会「第124回・中国輸出入商品交易会(広州交易会)」が15日、広州海珠区の「中国輸出入商品交易会展示館」で開幕した。11月4日までの期間で開催される。同商談会は、中国の「一帯一路」に沿って、アジアからヨーロッパへの貿易振興を軸に大規模な商談会が繰り広げられている。一方、ヨーロッパとブリグジット(EUからの英国の離脱)交渉を進める英国との間で、中国は株式相互取引の準備を進めている。互いに大きな市場との貿易摩擦を抱える中国と英国の接近が注目される。

 広州交易会の出展企業は2万4947社。毎年春と秋に開かれる同商談会は、1957年から開催され、今年は61年目を迎えたが、今まで一度も中断されたことがない。ここでの売買契約の規模は、中国の向こう半年間の輸出動向を示す先行指標と言われる。中国は現在、最大の貿易相手国である米国との間で“貿易戦争”を抱え、中国企業は新市場の開拓を加速させる構えにある。

 広州交易会に出展する中国企業の間では、「多元的な市場開拓」がキーワードとなっている。4月に開かれた前回は、「一帯一路」沿線国のバイヤー比率が44.54%に到達。中国メーカーと海外バイヤーが結んだ商品購入契約額は、3分の1を一帯一路沿線国で占めた。

 出展企業関係者の間では、一帯一路地域への貿易を大きく伸ばすところもあり、「中米貿易摩擦の影響は世間が騒ぐほどに大きくない」、「新興市場が成長を下支えている」などとの声も少なくないという。

 また、米国向け輸出比率が比較的大きい企業も、足もとで貿易戦争の影響は軽微と感じているようだ。対中制裁前の駆け込み需要や人民元安が直近の輸出情勢を一時的に好転させているため。ただ、9月に米国が発動した第3弾追加関税措置(中国製品2000億米ドル相当を対象)による影響が今後表面化していくことは必至だ。米国依存度が高い中国輸出企業は、市場の多様化や、競争力向上への技術イノベーションを求められている。

 一方、中国証券監督管理委員会は10月12日、上海・ロンドン両株式市場の相互取引に関する監督規定を発表した。域内上場企業によるGDR(グローバル預託証券)発行の条件を明示するとともに、ロンドン上場企業のCDR(中国預託証券)発行審査手続きなどが定められ、預託証券を通じた間接的な取引を認める内容になっている。証券市場関係者の間では、年内にも上海・ロンドンの相互取引がスタートするとみられている。

 上海上場企業では中堅ブローカーの華泰証券が9月25日に、ロンドン証券取引所でGDRを発行し、5億米ドル(約560億円)以上を調達する計画を明らかにしている。実際の発行のためには、10月22日の株主総会で承認を取り付けるほか、関連当局の認可を得る必要がある。同社がGDR発行に成功すれば、上海・ロンドン相互取引の第1号となる見通しだ。

 中国の一帯一路は、インドネシアでの高速鉄道建設の遅延、マレーシアの反発など、アジア地域では様々な問題が噴出している。さらに、米国市場から締め出されるような事態になっているだけに、英国との接近は自然な流れ。英国も、EUからの離脱交渉が暗礁に乗り上げるようなことになると、中国との良好な関係が築ければ、EUとの貿易のマイナスを補う効果が期待できる。英国は、一帯一路構想の当初から、同構想の推進を積極的に応援してきた。ただ、EUと対立する英国が一段と中国との関係を深めていくことになれば、ドイツやフランスなど、中国との2国間協議を前向きに進めてきた欧州の大国が、どのような反応をみせるのかも注目される。(イメージ写真提供:123RF)