日本経営管理教育協会が見る中国 第537回 ――下崎寛 

 2018年8月に北京に行き、中国のスマホ事情を見聞した。

 北京で中国携帯電話を購入し、決済用の銀行口座を開設した。その後、WeChat(簡易通話アプリ)、Alipay(支付宝、電子決済)、Mobike(レンタル自転車)等のアプリをインストールし、利用することとした。

 そこで、まず、レンタル自転車を利用してみた。地下鉄駅前にあるレンタル自転車(老人には使いづらく、費用の問題もあり、老人、市民はあまり利用していない。)をスマホで申し込みをし利用するのであるが、駅から10分程度の目的地であれば、乗り捨てができ便利である。サラリーマンがよく利用している。

 次に、飲食店に行って、食事することとした。料理を注文するときにバーコードを利用して決済できる。大衆食堂に行ってもスマホ決済であり、現金を利用するのは、外国人しかいない。現金を見せると嫌な顔をされる。特に、100元札は偽札が多く、嫌がられる。スマホ決済の導入ができたのは、偽札対策、脱税対策でもあるという。確かに、レジは、オンラインとなっており、ごまかしはできない。中国では、買い物や食事するには、スマホが必需品である。また、必ず充電器を持ち歩かなければならない。飲食店では、充電できるように、いたるところにコンセントがある。

 決済については、クレジットカードは普及していない。あらかじめ設定した銀行等の預金口座から代金をリアルタイムで引き落としができるデビットカード方式である。この方式だとクレジットカードのように与信の範囲で自由に買い物ができるのではなく、預金残高の範囲でしか使えないので、消費者のレベルに合った利用方法である。

 いずれにしても、基本は、バーコードで処理をすることとなり、通信施設等のインフラが必要なく、中国では、爆発的に普及したことで、第4の革命といわれている。

 しかし、最近、いろいろな問題が生じているようだ。

 Mobikeについては、新規会社が採算を度外視した価格設定で参入したことで、Mobike業者が倒産し、ひと頃の勢いがなくなっている。自転車の数もピーク時の3分の1程度となっている。

 また、中国の若者は、喫茶店等において、仲間が集まるとスマホをいじるだけで会話がないことだ。これからは、フェイスtoフェイスの時代において、会話によるコミュニケーションがうまくできるのかが心配である。

 キャシュレス化の普及は、韓国9割、中国6割、米国5割程度であり、日本は2割程度といわれている。経産省では、2025年まで4割の普及を目指すとの方向性が出ているが、世界の潮流から相当取り残されている現状を杞憂する。(写真は、北京レンタル自転車。提供:日本経営管理教育協会)