日本経営管理教育協会が見る中国 第535回 ――磯山隆志

◆モンスターハンターとは

 「モンスターハンター」は、株式会社カプコンが開発・販売しているテレビゲームのシリーズである。2004年に第1作が発売されて以来人気を博し、シリーズ化され、これまでに41のタイトルが発売されている。また、ゲームだけでなくアニメや漫画、パチンコなど複数のメディアでも展開されている。

 ゲームの内容は、巨大なモンスターをプレイヤーが様々な武器を駆使して倒すアクションゲームであり、複数のプレイヤーがオンラインでつながり、協力しながらプレイできるところに特徴がある。

 2018年8月にはシリーズの累計販売本数は約5,000万本に登り、カプコンを代表するゲームシリーズタイトルの一つとなっている。特に、2018年1月に発売された最新作の「モンスターハンター:ワールド」は、ダウンロード版の販売実績を含めて全世界で約1,000万本の出荷本数となり、カプコンがこれまでに発売したゲームタイトルの中でも史上最高のヒット作となった。このヒットの影響によりカプコンの株価も上場来高値を更新した。

◆突然の販売差し止め

 中国においても「モンスターハンター:ワールド」は、売上高で世界最大のゲーム企業であるテンセントが展開するオンラインゲーム配信プラットフォーム「WeGame」で8月8日から提供された。しかし、販売開始から5日後、中国当局の要請により販売停止となってしまった。予約は100万件以上あったとされるが、これにより購入者には全額返金する事態となった。

 「WeGame」は停止の理由として、ゲームの内容が中国政府の法律を満たしていないという大量の通報があったためと説明しているという。中国ではゲームの配信・販売には厳しい規制があり、当局の審査を受け許可を得る必要があるとされる。今回は許可を得ていたにも関わらず、販売差し止めになったため、中国当局による要請の具体的な内容について様々な憶測を呼んだ。

◆さらなる規制の強化

 8月30日、中国政府が新作ゲームの本数やゲーム全体の本数を制限するといった、規制を強化する方針を発表したとの報道がなされた。規制強化の理由は、報道によれば子供の近視予防だという。さらに、ゲームに対する課税が検討されているといった報道もあり、これらの影響を受けテンセントやカプコンなどゲーム関連株が下落した。

 これまでも中国ではゲームへの依存を予防するなどの理由から、ゲームに対する規制を強化させてきた。今後もこの動きは変わらないであろう。突然規制が変わる大きな市場で本数が制限されれば、ゲームを開発する場合、一層許可を得られる、すなわち当局の意向を強く意識した作品ばかりになりはしないだろうか。プレイヤー以前に中国当局が喜ぶようなゲームしかできないとなった場合でも受け入れられるのか、今後の中国ゲーム市場から目が離せない。(写真は、北京の大きなショッピングセンター。提供:日本経営管理教育協会)