日本経営管理教育協会が見る中国 第533回 ――水野隆張

◆ウラジオストックで中露首脳会談

 中国の習近平国家主席は9月11日、ウラジオストックで開いた「東方経済フォーラム」に参加し、プーチン大統領と会談した。中国からは約600人がフォーラムに出席し、ロシアを除く参加国で最多となる。またロシア東部では中国軍も参加する大規模な軍事演習が始まり、軍事面でのつながりも鮮明になっている。ロシアは演習について「第三国を標的としてはいない」と説明しているが、米国や日本を想定した内容となりそうである。

◆深まる中露の経済的軍事的関係

 ロシア経済の規模は中国の約10分の1に過ぎず、両国間の経済関係は双方にとって極めて重要なのである。中国は世界最大の原油輸入国であり、昨年にはロシアが中国への最大の原油供給国になっていた。また中国は、原油と天然ガスの今後も確保するために、何百憶ドルもの資金をロシアに貸し付けている。しかし、両国の経済的な結びつきよりも重要なのは。隣国としての軍事的な関係だ。今日では、日本海から地中海に至るまで。あちこちの海で中国海軍がロシアとの合同演習を定期的に行っている。またロシアは数十年間にわたり、最先端の軍事装備器中国に売却するのを拒んでいたが、今ではこの方針を撤回している。

 継続的な台頭と、米国に取って代わろうとする露骨な野心のために、中国は米国にとってロシアよりもはるかに大きい存在となっているのである。

◆中国とロシアを結び付ける最も重要な要因はイデオロギーである

 習近平氏とプーチン氏はともに独裁者であり、代議制の政府を嫌い、米国が後ろ盾になった「カラー革命」によっていつか政府から放り出されるのではないかと強く恐れている。両国の接近には、共通の国益の急拡大と同じくらい、米国と米国中心の国際秩序に対する嫌悪感が関係しているのである。この状況は、両国の同盟が固まってしまう前に米国が中ロの間にくさびを打ち込むチャンスともなるはずである。

◆1972年の米中和解の立役者キッシンジャーの助言

 1972年の中国との和解の立役者であるヘンリー・キッシンジャー氏はドナルド・トランプ大統領に対して、モスクワと親しくなって中国を孤立させる「逆ニクソン中国戦略」を遂行するように助言したということが伝えられている。習近平氏が中国の最高指導者として初めてモスクワを訪れた2013年以降、両氏は少なくとも26回は会っており、両氏はあらゆる手段を用いてお互いを褒め称え、男同士の友情を芽生えさせているようだ。このように反米で接近する中露をトランプ政権は分断する事が出来るのだろうか?

 北朝鮮への制裁、中国との貿易戦争を展開しているトランプ大統領の今後の動きに注目したいところである。
(写真は、吉林省の最先端国境から見たロシア。提供:日本経営管理教育協会)