日本経営管理教育協会が見る中国 第530回 ――大森啓司

◆Googleが使えない中国

 著者は前回、6月に訪中時日本が開発したQRコードで様々なビジネスモデルが生まれている事を紹介した。今回はここ数年、日本人が中国訪問前に必ず準備なければいけない事についてまとめてみた。

 それは中国でのGoogleが利用できない対策である。

◆日本からVPNルーターを持参する邦人観光客

 今、日本の社会でGoogleを使用できない環境を創造できるだろうか? Google Mail、GoogleMap等様々なツールがスマートフォン上で私たちの生活の利便性を向上させてくれている。

 かくいう私も、独自ドメインのアドレスを使用しながらもメールはGoogleを使用している。このようなビジネスマンにとって、長期出張でGoogle Mailを使用できないのは致命傷に近い。

 この対策として準備すべき事は何か? ひとつはサブタイトルに記した日本のネットワークに直接接続できるVPNルーターを日本でレンタルで調達していく方法、もうひとつは独自ドメインにメールを送るように変更する方法である。

 日本人の中には、前者のルーターを日本から調達をしていく人が多い。ただし、現地での設定に苦労し、訪問地域によっては接続できずに帰国した人もいた。

 そういう意味で、安全性ではGoogle以外のサーバーを使用していれば、後者で対策を考えた方がよい。

◆中国のクローズ閲覧対Googleのオープン構図

 グーグルは2000年に中国に中国語の検索サイトを開設したが、内容の検閲を巡り中国政府と対立。10年に検索サイトの利用ができなくなり事実上、同国市場から撤退した。

 ただGoogleにとって、中国市場の魅力は大きく、経営トップらは中国政府との関係改善に力を入れてきた。例えば、2017年12月に中国政府が開いたインターネット関連のイベントにはグーグルのピチャイCEO自らが出席した。

 一方、中国側も少しずつグーグルに門戸を開いている。2017年3月にはスマホ向けアプリ「グーグル翻訳」の中国での提供が許可された。12月には北京でのAI研究拠点の開設を発表した。

 しかし、最終的な利用が実現するか否かは中国政府次第のようである。ネットの所管権を一手に握る中国政府はネット上での情報管理を一段と厳しくしている。

 例えば、2017年6月には「インターネット安全法」を施行し、外国企業が中国国内の事業活動で得たデータや情報を中国国外へ持ち出しすることを禁じている。外国企業は中国国内にサーバーの設置を迫られ、政府からの情報開示請求に答えなければいけない。

 いまも海外企業が提供する検索やメールなど各種サービスは、中国国内で事実上、前述のVPNルーターを使用するなど特殊な通信手段を使う以外、利用できない。

◆期待したいGoogleのオープン構図

 国内IT企業を育てたい政府方針の下、中国側がグーグルなど海外企業に今後、市場を大きく開放することは考えにくい。グーグルはテンセントとの特許共有を機会に、政府との交渉を根気よく続けていくだろう。

 Googleは、中国政府の意向に沿うような検索ビジネスの接点が見つけられるだろうか? 今後の動向には眼がはなせない。(写真は、スマホでネットを見ている若者。提供:日本経営管理教育協会)