中国は、米国との貿易摩擦による経済の下振れ圧力が強まる中、「積極的な財政政策」と「穏健な金融政策」によって緩やかな成長を維持する。中国共産党が7月31日に開催した党中央政治局会議(議長は、習近平・党中央総書記)で、今上期の経済情勢について「全体的に安定を維持」したものの、「新たな問題や課題に直面し、外部環境が明らかに変化している」との認識を示した。「新たな問題」とは、米国との間での貿易戦争を念頭に置いた表現だが、インフラ投資の拡大など景気優先の政策スタンスにシフトすることによって経済成長を維持するとしている。ただ同時に、「不動産価格の上昇を断固として阻止する」とし、不動産引き締めの方針は変わらないことを示した。

  中央政治局会議では、下期の重要政策任務について、「的を絞った措置によって解決する必要がある」とし、積極財政を含む6つの重要政策任務を挙げた。

  重要政策任務の1番目は、「積極的な財政政策」と「穏健な金融政策」を堅持する方針を確認。うち財政政策については、内需拡大と構造改革のためにより大きな効果を発揮させる必要があるとし、「雇用・金融・貿易・外資・投資・予想の安定化にしっかりと取り組む」としている。

 金融政策においては、中国人民銀行(中央銀行)が8月1日、2018年下期の政策任務に関するテレビ会議を開き、「穏健な金融政策(穏健的貨幣政策)」を実施する方針を確認。「合理的で余裕のある流動性を維持」し、「実体経済へのサポートを行うよう金融機関に奨励する」とした。さっそく、人民銀が市中銀行に対し、融資を拡大するよう「窓口指導」しているような動きが伝えられている。

 2番目の任務として、「供給サイド改革」において「補短板(脆弱分野の補強)」を重視し、特にインフラ設備分野での「補短板」を拡大する考えが示された。そして、「イノベーション力を強化し、過剰生産能力の削減における制度的障害を打破し、企業コストを下げる。農村振興政略をしっかりと実施する」とした。

  他の重要政策任務としては、◆「デレバレッジ(債務圧縮)」を継続する、◆改革開放を推進し、効果のある重大改革を研究する、◆住宅価格の上昇を断固として阻止する、◆雇用の安定をより重視する――を挙げた。

  会議の決定事項を受け、市場関係者の間では「中国がより積極的な財政政策にかじを切った」との見方が優勢。これに先立つ7月23日には、国務院(内閣に相当)常務会議で「積極的な財政政策をより積極的にする」方針が確認され、法人減税を強化することなどが明らかにされている。米国との貿易摩擦によって影響を受ける輸出企業への支援策としても意識されるところ。一方、金融政策に関しては、今回の政治局会議でデレバレッジが強調されたことから、「全面的な緩和にはならない」とみる向きがある。

 中央で方針が発表された7月31日に深セン市政府は、住宅の転売を3年間禁止するなど新たな不動産引き締め策を発表し、即日で実施した。現地メディアによると、同市でこの種の転売制限が実施されるのはこれが初めて。「過去最も厳しい引き締め策」などと報じられている。ほかに、法人による住宅投機や「偽装離婚」による住宅購入を防ぐための措置も導入された。

  新規定では、新たな住宅を購入した世帯は「房産証(不動産権利書)」を取得した日から3年内に同物件を転売することが禁止される。また、事業単位や社会組織などが市内で住宅を購入することも禁止された。さらに、住宅購入者が2年以内に離婚し、未返済のローンが残っている場合、頭金比率が70%以上に引き上げられる。(イメージ写真提供:123RF)