日本経営管理教育協会が見る中国 第526回 ――磯山隆志

外国人技能実習制度とは

 外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした制度である。

 仕組みとしては、開発途上国等の外国人を、日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する。技能実習生には、入国直後の講習期間以外は雇用関係の下、労働関係法令等が適用される。

初の外国人介護実習生受け入れ

 昨年、技能実習制度の対象職種に介護が新たに追加された。これにともない、介護職種として初めての外国人実習生二人が中国から来日した。

 二人は受け入れ窓口となる団体で日本の習慣や法律、介護分野の講習を約1カ月間受けた後、受け入れ先となる企業の介護施設で5年間勤務する予定である。ただし、その間、日本語能力検定N3に合格しなければならない。二人は日本の介護福祉士の資格取得を目指すという。

中国の介護事情

 中国では一人っ子政策により、高齢化が急速に進んでいる。65歳以上の人口は2014年の時点で約1億3,700万人と総人口の10%を超えたとされ、2050年には約3億1,000万人と総人口の約23%になるとされる。そのため、介護人材の育成が急務となっており、実習生を派遣する中国側も、先に高齢化社会を迎えた日本の仕組みや技術を学ぶことを狙いとしていると考えられる。

日本の介護事情

 介護実習生を受け入れた企業の社長はその理由の一つとして、中国での日本式介護事業展開を挙げている。東京商工リサーチの調査によれば、2018年上半期の老人福祉・介護事業の倒産件数は45件で過去最高を記録したとされる。この要因として競争激化や介護職員不足による人件費の上昇が挙げられており、小規模な事業者の淘汰が進んでいるとされる。厳しい環境のなか、高齢者人口の規模が大きい中国でビジネスチャンスを狙う。

 また、介護人材の確保は日本においても急務となっており、今回の介護実習生受け入れもその対策の一つと考えられる。総務省の調査によれば、介護や看護を理由に退職した人が、2017年9月までの1年間に9万9,000人いたとされ、社会的な問題となっている。今後、国内の人材不足を補う意味でも介護実習生の受け入れは拡大してゆくであろう。これから日中両国が抱える介護に関する諸問題にどのように影響していくのか注目される。(写真は、日本の有料老人ホームの例。提供:日本経営管理教育協会)