中国の通信キャリアは、「中国移動(チャイナモバイル)」、「中国聯通(チャイナユニコム)」、「中国電信(チャイナテレコム)」の3大キャリアに集約されている。ちょうど、日本のNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの3社が市場を押さえている姿に似ているが、日本では、ここに新たなプレーヤーの参入が取りざたされているものの、中国では一層の集約化・巨大化が進む見通しだ。米系中堅証券のジェフリーズ証券が発表したレポートに呼応するように、中国メディアが相次いで再編を匂わせるような報道をしている。

 ジェフリーズ証券の最新リポートで、米中の貿易摩擦やそれを背景とした中興通訊(ZTE)への制裁騒動を受け、中国政府が通信キャリアの競争力を向上させるために、大型再編を行う必要性を感じているとの見解を示した。ZTEは米国が実施したイラン・北朝鮮への禁輸措置に違反したとして米国企業との取引を4月から停止させられる制裁を受け、主力であるスマートフォンの製造ラインが止まってしまった。18年6月中間期決算では、制裁解除のための罰金10億ドル(約1200億円)と工場停止に伴う損失を合わせて最大90億人民元(約1500億円)の純損失を計上する見通しだ。

 ジェフリーズ証券は、通信キャリアの競争力を向上させ、外部環境の変化に対応し得るだけの実力を持たせる必要性を当局が痛感し、政府主導の業界再編を検討する可能性を指摘している。そのレポートで、中国電信と中国聯通が合併する可能性が高まっていると分析している。

 現在の3大キャリアの中で、携帯電話市場のシェアは中国移動が頭抜けて大きく、中国聯通と中国電信は2社を合わせても中国移動には敵わない。たとえば、携帯契約者数は、中国移動の8.9億人に対し、中国聯通が2.8億人、中国電信が2.5億人だ。うち、4Gの契約者数は中国移動が6.5億人、中国聯通が1.7億人、中国電信が1.8億人と一段と水をあけられる。業界は現在、5Gインフラ整備が進んでいるが、先行する中国移動に対し、中国聯通と中国電信の遅れが指摘されている。

 また、中国電信は7月19日、総経理の劉愛力氏が退任すると発表した。劉氏は、2017年9月に中国移動から中国電信に異動してきたばかりだ。この劉氏は、同じく国有企業である中国郵政集団公司の総経理に就任する。そして、玉突き形式で押し出された郵政集団総経理の李国華氏は、中国聯通の総経理に就任する。

 中国では、国有企業の統合など大規模な業界再編が実施される前に、幹部を入れ替えるケースが多い。第3世代(3G)携帯電話ライセンスの発給を控えた2008年には、通信会社6社を現在の3大グループに集約する再編が実施された。今回、中国電信や中国聯通のトップの異動も、再編へ向けた手続きの一環と受け止められている。(イメージ写真提供:123RF)