日本経営管理教育協会が見る中国 第524回 ――水野隆張

■米トランプ政権が追加関税10% 6031品目22兆円相当のリストを発表

 2018年11月の中間選挙を控え、支持基盤を固めようとトランプ氏の対中姿勢は強気である。

 2018年7月5日の選挙集会で「我々は中国との貿易戦争に勝つ。あらゆるカードを持っている」と演説している。一方、中国商務省は「国家と人民を守るため中国は必要な反撃をせざるを得ない」との声明を発表している。このように一方的な追加関税発動を繰り返すなら米国は孤立を深めかえって解決が遠のくのではないかとの懸念も生まれている。

■米国の覇権に挑戦する中国に警戒感を強め始めた米国

 21世紀半ばに建国100年を迎える中国は、それまでに「世界一流の軍隊」を建設する目標を掲げている。2018年の国防費は約1兆1000億元(約18兆円)と米国の4分の1に過ぎないが、ICBMや空母、ステルス戦闘機と急ピッチで装備の近代を進めている。

 トランプ政権は17年末に策定した国家安全保障戦略で方針を転換し、中国を戦後秩序に挑む勢力と位置づけ、対抗策を矢継ぎ早に打ち出している。

■米中摩擦の根源にあるのはハイテク分野の覇権争いだ

 2018年5月末にホワイトハウスが発表した声明には追加関税を課す対象商品には「中国製造2025に関する分野を含む」と明示した。「中国製造2025」はロボットなど先端技術の国産化を目指すもので、中国当局はハイテク産業に巨額の補助金を投じている。

 米国は補助金廃止を要求しているが、中国側は強く反発しており、摩擦が収まる気配は見えていない。

■北朝鮮問題も米中協議を複雑にしている

 米中摩擦の風向きに小さな変化があるのはトランプ氏が最重要視する北朝鮮問題が動き始めたためである。北朝鮮の金正恩委員長は5月初旬に中国・大連で習近平氏と再び会談し、その直後に習氏はトランプ氏に電話を入れて、非核化プロセスの仲介役を買って出ている。

 国際貿易を取引材料に中国に外交で譲歩を迫る「トランプ流」の取引は、世界経済を繰り返し混乱させている。

■米中貿易協議は迷走を重ねている

 米中貿易協議は北朝鮮問題という目先の懸案と、貿易不均衡の解消という中期的なテーマと、さらにはハイテク摩擦という長期課題が複雑にからみあっており、これらをどう解きほぐしていくかは見通しがついておらず、迷走を重ねている状況である。(写真は、北京人民大会堂。提供:日本経営管理教育協会)