日本で先ごろ、ソーシャルレンディング(P2P融資)最大手のmaneoマーケットに証券取引等監視委員会から金融庁に対し行政処分の勧告が出されたところだが、中国では、P2P融資プラットフォームが、管理当局の調査などのために運営停止に追い込まれる事業者が続出し、「惶恐六月」(6月の恐怖)と言われるほど業界が大きく揺れている。中国ではスマホ決済の進展が日本以上に進み、個人の信用力をポイント化する信用スコアが広がり、P2P融資が進めやすい環境にある。P2P融資を提供している事業者数が全国で1800社以上といわれる中、今年6月までに323サービスが停止され、うち6月には80が閉鎖されたという。

 中国でP2P融資の仲介プラットフォームが運営を相次ぎ停止しているのは、違法な資金集めが疑われるなか、経営者が行方をくらませる事例が多発しているため。先ごろの南京市、上海市に続いて、このところ浙江省杭州市でも複数のサイトが無予告で運営停止に陥っている。地域のメディアでは、その数の多さに報道が追いつかないほどだ。

 杭州公安局の江干区分局、西湖区分局、拱墅区分局、余杭区分局などの現地警察が立件に向けた調査に着手。7月第1週の間でも、投融家、佐助金服(「牛板金」を運営)、人人愛家、雲端金融、小九金服、金柚金服、杭州鋭碩網絡科技(得宝理財)、杭州優楊投資、杭州浙優民間資本理財服務公司(傘下で「一城貸」、「城城理財」を運営)、杭州祺天優貸、杭州広恵軟件を相次ぎ摘発している。

 このうち「投融家」は、経営者が失踪したと従業員によって警察通報された。本部が入居しているビルも、人影が消失したという。違法な資金集めが疑われるソーシャルレンディングサイトには、100億人民元(約1680億円)以上の資金を動かしてきた業界大手の名称もみられた。「牛板金」は、杭州最大のP2P融資プラットフォームでユーザー数は約83万人、過去2年間で累計取引額は390億人民元(約6550億円)に達していた。「人人愛家」は累計取引額が232億人民元(約3900億円)、「投融家」は103億人民元(約1730億円)になっていた。

 ソーシャルレンディングとも呼ばれるP2P融資は、資金の借り手と貸し手をネット上で結びつける個人間の融資仲介サービス。融資額は比較的に小口になるものの、貸し借りの相手を相互に選別できるなどといったメリットもある。すでに融資残高が2017年末には中国国内で1兆2000億人民元(約20兆円)に拡大し、事業そのものが中国国民の間に根付いている。このP2P融資プラットフォームを謳いながら、巨額資金を集めた後で運営を停止したP2P融資プラットフォームも散見されている。

 中国政府は、昨年12月にはP2P融資の規制を強化し、上限金利の遵守を厳格化して違反する事業者は免許取り消しなどの厳しい態度で臨んでいる。一説によると、2017年12月時点では2000社に迫る勢いだったP2P融資事業者は、18年末には800社程度に減少すると見込まれている。事件に巻き込まれて、自分の資金が戻って来ないなどの事態に至っている人には気の毒だが、「6月の恐怖」が業界の強化、健全な育成につながることを、多くの国民が望んでいることだろう。

 なお、中国のP2P事業者は、2015年12月にNYSEに上場したYirendai(宜人貸)の他、信而富、Qudian(趣店)、Ppdai.com(拍拍貸)、Hexindai(和信貸)、融360、楽信集団などが米国で上場。また、中国平安保険(集団)の子会社Lufax(陸金所)など上場予備軍も少なくない。(イメージ写真提供:123RF)