今年ICO(新規仮想通貨公開)で2000万ドルを調達し、スイスのFintech賞を受賞したブロックチェーンシステムの開発ブロジェクト「PROXEUS」の2人の共同設立者が来日し、日本でのコミュニティづくりを働きかけている。日本をはじめ、シンガポール、香港、韓国を回るアジアツアーを展開中。ブロックチェーンに対して国として前向きな対応を進める日本について「ブロックチェーン技術を推進する重要な国家」(共同設立者CEOのアントワーヌ・ヴェルドン氏)(写真)と位置付け、PROXEUSを使ったブロックチェーン関連サービスのコミュニティを作りたい考えだ。

 「PROXEUS」について、ヴェルドン氏は、「20年前にインターネットが広がり始めた頃には、HTMLなど特殊なプログラムを学んだ人にしか、インターネット関連のサービス開発ができなかったが、今では様々な開発支援ツールが使われて特別な知識がなくても、感覚的にサービス開発ができるようになった。『PROXEUS』はブロックチェーンの“Wordpress”。より簡便な方法でブロックチェーン技術を応用したシステム開発を可能にする」と紹介した。

 PROXEUSは、ニュージーランドのCentrality、日本のQuoine、CTIAをパートナーにスイスで設立された。スイスでは会社の登記手続きをブロックチェーン技術を使って実施するシステムを開発し、通常10日間かかる申請・登記手続きを48時間以内で完了。テストケースとして取り組んだ実験では、起業家、弁護士、銀行、公証人、登記所などが連携して1時間37分で登記手続きを終了した。

 また、スイスのバーゼル大学と共同で、卒業証明書をブロックチェーンに乗せるシステムを開発した。毎日にように大学に問い合わせがある「この卒業証明書は本物か?」という問い合わせを不要にするシステムとして注目されている。さらに、スイスのある資産が持つアンティーク車のコレクションを投資資産として活用するために、ブロックチェーン技術を使って偽造不可能な鑑定書のついた資産として所有権が交換できる仕組みをつくり出した。

 「ブロックチェーンは、これからの世界を変える画期的なテクノロジーであるにもかかわらず、本当に価値があるのかどうかわからないICOが横行し、仮想通貨が投機の対象となるなど、ブロックチェーンが技術として活用される部分への関心が広がっていない。PROXEUSのようなツールがあることで、ブロックチェーンが実装されたサービスが広く活用されることこそが社会にとっては重要だ」(ヴェルドン氏)と語っている。

 PROXEUSが本拠にするスイスは、約200社のブロックチェーン関連会社が集まる「クリプトバレー」といわれるツークの存在など、国として暗号通貨やブロックチェーンの育成に積極的。共同設立者CIOのパトリック・アレマン氏は、「日本は、ブロックチェーン先進国として世界をリードする可能性がある」と大いに期待している。

 パートナー企業であるCentralityのCEOアーロン・マクドナルド氏は、同じくブロックチェーンのサポートツールである「pl^g(プラグ)」などを使って「日本の企業と共同でシステム開発をスタートする」と日本でのサービス展開が具体化していることを明かした。「当社には、ウォレットである『centrapay』、IDとして使う『SINGLESOUECE』、コミュニケーションツールの『sylo』などのアプリケーションがあるが、その機能がコアでなければ、当社のアプリを組み込んだシステム開発を進めて、新しいサービスいち早くリリースするということが当たり前になってくる」と語る。標準で利用される利便性の高いツールの開発に100人規模のエンジニアで取り組んでいるという。(情報提供:モーニングスター)(写真は、PROXEUSのCEOアンドワーヌ・ヴェルドン氏)