日本経営管理教育協会が見る中国 第520回――下崎寛

■日本の外国人単純労働者受け入れ検討開始

 日本経済新聞の記事(2018年5月30日)によれば、これまで日本政府は、外国人単純労働者を原則認めない方針であったが、日本経済が直面する深刻な人手不足の対応として、外国人単純労働者の導入に2019年から2025年までに最大で50万人に門戸を開放する方針を固め、具体的な検討に入った。建設、農業、介護、宿泊、造船など人手不足の5分野が対象となっている。

■マイナンバー制度を活用

 今後、外国人の単純労働者が増加することが見込まれるが、その受け入れ制度の構築が重要となる。そのポイントとなるのが、マイナンバー制度であろう。マイナンバー制度で外国人労働者の管理を強化し、その労働環境の整備が急務となろう。

■韓国の制度

 その手本として、日本経済新聞では、ドイツの移民制度を参考にするとなっているが、韓国の外国人単純労働者受け入れ制度も検証すべきである。

 韓国も日本と同様な政策を実施して外国人単純労働者を認めなかった。例外として、日本の外国人研修制度を真似て「産業研修制度」として外国人単純労働者を受け入れしていたが、2004年(平成16年)、韓国は外国人単純労働者の受入れに踏み切った。その「産業研修制度」を廃止し、期間を限って外国人労働者と雇用契約を結ぶシステムである「雇用許可制」が導入された。

 韓国が導入している雇用許可制とは、製造業、建設業、農畜産業、サービス業等の分野において、従業員数が一定以下の事業所が、一定期間求人を出しても韓国人労働者を雇用できない場合、所定の手続きを経て外国人労働者と一定期間の雇用契約を締結できる制度である。

 韓国の雇用許可制は、送り出し国と二国間覚書を締結し、韓国語試験・技能試験等を経て求職登録した者を中小製造業や農畜産業などに受け入れる一般外国人を対象とした「一般雇用許可制」と、韓国系外国人を対象とした「特例雇用許可制」がある。

■日本は77万人、韓国は46万人とほぼ人口比

 2014年の韓国雇用情報院の統計によれば、その制度の人数は一般外国人約25万人、韓国系外国人約21万人の合計46万人となっている。日本における外国人労働者は、2014年で約77万人、そのうち、韓国と同様な制度の技能実習生が約15万人となっており、韓国の3分の1程度である。

 なお、日本においては、技能実習生の内訳が中国人63%、ベトナム人・フイリピン人が25%となっているのに比べ、韓国では、韓国系外国人が45%、一般の外国人が55%(うちベトナム人・タイ人・インドネシア人・カンボジア人が50%占める。)となっている。韓国では朝鮮族の韓国系外国人が多いが、漢民族の中国人が少ない傾向にある。また、韓国では、一般外国人については若年層が多いのに比べ、韓国系外国人は中高年の既婚者が多いといわれている。

 このように、単純にドイツ、韓国の制度を取り入れることには難しいと思われるが、制度のたたき台としては活用できる。

 アジア諸国の経済成長や少子高齢化の進展によって、労働力供給は低下し、労働力需要は増大している。高度人材だけでなく単純労働者についても厳しい争奪戦が始まっている。円安や賃金格差の縮小も進み、日本はもはや魅力的な出稼ぎ先ではない。この競争に打ち勝つ魅力的な制度の構築が求められる。(写真は、東京の入国管理局。提供:日本経営管理教育協会)