6月8日からカナダで開催された主要7カ国(G7)サミットは、米トランプ大統領が終了を待たずに開催地を離れ、かつ、会議後の首脳宣言すらトランプ大統領が承認しないなど足並みの乱れる結果になった。これとは対照的に、6月10日から中国の山東省青島で開催された中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)は、新たにインドとパキスタンが正式加盟国として参加するなど、結束と連帯感を新たにした。中国メディアは、G7とSCOを殊更に比較し、中国の習近平国家主席の「開かれた世界経済を築く必要がある」という自由貿易を擁護する発言を伝えた。

 G7は、米国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダというGDP規模でトップ10を占める国のみで構成している首脳会議。SCOは、GDPで世界2位の中国と12位のロシアが中心になり、インド、パキスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスといった中央アジアの国々が加盟する国家連合だ。経済規模の点ではオブザーバーのイラン、アフガニスタン、モンゴル、ベラルーシを加えてもSCOはG7の2分の1にも満たない。ただ、国土の面積と人口においては、SCOは世界最大規模の多国間協力組織といえる。

 SCOは共同軍事訓練を実施するなど、北米(米国・カナダ)とヨーロッパ諸国との間で結ばれたNATO(北大西洋条約機構)のような側面もあるが、今回の会合では経済的な議論が強調された。保護主義への対抗やイラン核合意の支持表明などで合意。また、エネルギー・農業分野での協力拡大、貿易・投資の環境改善でも一致している。

 中でも、中国はロシアとの間で原子力発電で大型契約を結んだと伝えられている。中露は、江蘇省の田湾原子力発電所(1~6号機稼働中)に7・8号機を、遼寧省沿岸部に位置する徐大堡原子力発電所(1・2号機が稼働中)に3・4号機を共同で設置する。ロシアの第3世代加圧水型原子炉「VVER-1200」を合計4基建設する計画だ。また、中国が進める高速実験炉(CEFR)プロジェクトに、ロシア側が設備供給や技術提供していくことも確認した。これら原発関連の総契約額は200億人民元(約3450億円)を超えるとしている。

 この他にも、中露の間では、石油、および、天然ガスといったエネルギー分野での協力拡大が確認された。特に「中ロ天然ガスパイプライン東ルート」工事に関して、工事効率を最大限に引き上げていくことを相互確認した。

 東ルートは、中国領域内はすでに半分以上の工程が完了し、当初完成予定の2019年5月を繰り上げて、年内にも開通できる目途が立ってきた。しかし、ロシア域内の工事は遅延しており、これを督促した格好。ロシア国内では全長2600キロメートルのうち、1000キロメートル区間が未完成だという。この東ルートの完成は、環境対策を迫られている北京・天津・河北地区や長江デルタ地帯と呼ばれる上海・南京・杭州などの巨大な経済地域への天然ガスの供給で大きな役割を果たすと期待されているため、中国としては、何としても完成を早めたい案件だ。

 G7を険悪なムードにした米トランプ大統領は、史上初の米朝首脳会談を実施し、朝鮮半島の非核化を巡っては中国の前向きな関与を評価してみせた。一方で、米国は中国に対して巨額な貿易不均衡(中国の一方的な輸出超過)是正を強烈に求め、「貿易戦争」すら辞さない構えを崩さない。北朝鮮を間に挟んで、一時的に融和したように見えた米中関係だが、再び緊張をはらんだ関係に変わりつつある。その際に、強力なパートナーであったG7各国の間との関係を悪化させたトランプ大統領に対し、SCOでプーチン大統領との親密な関係を強化してみせた習近平国家主席。習近平氏の方が心理的に優位な立場にあるようだが、独自路線を突っ走っているトランプ氏には、習氏の外交努力がどれほどの効果があるものか未知数だ。(イメージ写真提供:123RF)