日本経営管理教育協会が見る中国 第519回――宮本邦夫

 去る5月10日に開かれた日中首脳会議において、両国の経済関係の強化が決まった。その中の1つに「新技術や急速な高齢化に対応するために、新たな協力分野を開拓」がある。これに該当するものと注目されているのが、高齢化で先行している日本で蓄積された介護サービスの知識、ノウハウに裏打ちされた「日本的な介護サービス」の中国への提供である。提供できる「日本的な介護サービス」について、以下で具体的に考察してみたい。

◇地域包括ケアシステム

 高齢化によって、高騰する医療費や介護費用に対応するために、打ち出された高齢化対策の1つが「地域包括ケアシステム」である。「地域包括ケアシステム」は、法的には「地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保できる体制」のことである。この中で、特に行政が力点を置いているのが「医療と介護の連携」である。中国に対し介護サービスの充実化について助言する場合には、まずこの点を強調してはどうであろか。

◇介護サービスの多様性

 介護サービスは、大きく施設サービスと居宅サービスに分けられるが、いずれもその内容は多様である。施設サービについて見ていくと、介護療養型施設、介護老人保健施設(老健)、介護老人福祉施設(特養)、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)などがある。また、居宅サービスには、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売などがある。このような介護サービスの多様性をぜひ学んでほしいものである。

◇きめ細やかな「“おもてなし”介護」

 日本的な文化の一面として「おもてなしの文化」が挙げられる。介護サービスの分野でも、当然のことながら「おもてなしの文化」の精神を汲んだサービスが行われている。具体的には、介護スタッフは、(1)お(思いやりを持って)、(2)も(漏れなく)、(3)て(手抜きなく)、(4)な(和やかに)、(5)し(親切に)といった具合に、実にきめ細かいサービスを提供しており、世界からも注目されている。文化に関わることであるから、中国では、このまま受け入れるのは難しいとは思われるが、この「日本的なおもてなし」を参考にして利用者に歓迎されるサービス内容にすることを期待したい。(写真は、介護付き有料老人ホームの例。提供:日本経営管理教育協会)