6月14日に、開催国ロシアとサウジアラビアの一戦で開幕するFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ(W杯)で、世界のサッカーファンが頻繁に目にするのは中国企業の広告になりそうだ。仏広告大手ピュブリシス(Publicis Groupe)傘下の調査会社ゼニス(Zenith)によると、今回のW杯開催期間中、中国企業による広告支出は8億3500万米ドル(約910億円)に達し、これは2位の米国(4億米ドル)や開催国のロシア(6400万米ドル)を大幅に上回る規模になる。香港メディアが伝えた。

 ゼニスによると、4年に1度のサッカーW杯は世界200カ国・地域でテレビ中継され、視聴者の数は3億5000万人に達するという。大会期間中には1年間の世界の広告予算の10%程度が投入されるといわれるほどのビッグイベントだ。各国の企業にとって会社をアピールする絶好のチャンスで、今回のロシア大会開催中は広告支出が合計で24億米ドルに上る見込みだ。大会スポンサー企業全13社のうち、5社は中国企業だ。

 過去のW杯では、スポンサーの大半を米国企業が占めていたが、今回は中国企業が大きなシェアを占めた。ロシア大会のオフィシャルスポンサーは、不動産大手の大連万達集団(WANDA GROUP、ワンダ・グループ)がFIFA PARTNERSとしてトップスポンサー7社の一角を占めた他、ワールドカップ・スポンサーに家電大手の海信集団(Hisense Group、ハイセンス)、スマートフォンメーカーの維沃移動通信(Vivo)、乳製品メーカーで中国最大手の中国蒙牛乳業(Mengniu Dairy)、そして、ナショナル・サポーターに電気自動車の雅迪(Yadea)が契約を結んでいる。

 これら中国企業のうち、ワンダ・グループは中国一の富豪といわれた王健林氏が率いるコングロマリットで、スペインのアトレティコ・マドリードの大株主になるなどスポーツ・マーケティングを積極的に展開。アトレティコ・マドリードの本拠地は命名権の取得によって今シーズンから「ワンダ・メトロポリターノ」と呼ばれている。

 ハイセンスは、ワールドカップ史上初の中国家電ブランドのスポンサー。2017年4月に国際サッカー連盟(FIFA)との間でオフィシャルスポンサー契約を締結。スタジアムでの広告掲示板やスクリーン上の得点表示での企業ロゴ掲出、大会期間中のピッチ内外での様々なイベントを行う。

 蒙牛乳業は中国の食品・飲料メーカーで初めて、昨年12月にW杯のオフィシャルスポンサーになった。同社の乳飲料はFIFAの「オフィシャル・ヨーグルトドリンク」になっている。FCバルセロナ所属でアルゼンチン代表の人気選手、リオネル・メッシとイメージキャラクター契約を締結している。開催期間中にテレビCMを流すだけでなく、試合会場で自社製品の試飲イベントを行う予定だ。

 さらにゼニスによると、観戦のためにロシアを訪れる中国サッカーファンの数は、米国に次ぐ世界2位に達するもよう。FIFAが発表したデータでは、今回販売したチケット170万枚のうち、少なくとも3万7000枚が中国サッカーファンの手に渡ったとみられている。  

 「無類のサッカー好き」として知られる習近平・国家主席の後押しのもと、国威発揚の場としてサッカーを位置づけ、挙国体制でその振興に努めている。サッカーワールドカップ2030年度の開催地にも名乗りを上げている。中国代表は、ロシア大会への出場はならなかったものの、「サッカー強国」となることを目標に掲げている。大会スポンサーとしては、すでにメジャーとなった中国だが、本大会の出場国として中国代表チームが活躍するようになるのはいつのことだろう? (イメージ写真提供:123RF)