世界に先駆けてライドシェアに関する国家的な法律「インターネット配車予約管理弁法」が2016年7月27日に公布(同11月1日施行)されてから2年を迎えようとしている。同法の施行を飛躍のきっかけにして滴滴出行(ディディチューシン)がUberの中国事業を買収するなど急成長。一時は中国市場を独占する勢いだったが、これに新興の美団(Meituan)が対立し、サービス競争が激化したため、コストを抑えるため違法車両で操業したり、割引クーポンを乱発するなどの混乱が生じてきた。

 ネット配車予約管理弁法に係る7部門(交通運輸部、中央網楽安全情報化委員会、工業情報化部、公安部、中国人民銀行、税務総局、国家市場監督管理総局)は、このほど連名で、「ネット予約タクシー業の事中・事後連合監督に関する取り組み強化の通知」を公布し、配車アプリ業者の管理・監督を強化すると宣言した。

 中国当局は、無許可営業や、車両や運転手に関する情報の登録内容と実際との不一致、顧客情報の流出、脱税、不当競争などの違法やルール違反行為が少なくないことを問題視している。まずは、管理監督にあたる7部門の各地方支局において、業者への聞き取り・指導を展開。その後、改善がみられない場合は、「ネット安全法」、「電信条例」、「ネット情報サービス管理弁法」などの各ルールに基づきサービスアプリ配信停止や営業停止などの行政罰を与える――としている。

 法律によって、ライドシェアに使用できる車両「網約車」は、走行距離が60万キロメートル以内、車齢が8年以内に定められている。これを過ぎた車両では営業できないと定めている。また、車載機器として走行記録機能付きのGPS、応急通報装置の設置が義務付けられた。そして、運転者には3年以上の運転歴と、重大交通事故、危険運転、暴力犯罪の犯罪歴、麻薬吸入・飲酒後運転の記録がないことを求めている。配車アプリ事業者の競争が激しくなると、登録ドライバーの確保を優先するあまり、古い車両の使用や、車両登録にあたっての証明書を偽造するなどの行為が目立ち始めているという。

 中国におけるインターネット配車サービスは、テンセントが出資する「滴滴打車(ディディダーアチャー)」とアリババが出資する「快的打車(クワイディダーアチャー)」 が合併した後に、Uberの中国事業を2016年8月に買収したことによって、一時は中国国内の配車サービスのシェアを80%以上抑え、市場競争に勝利したといわれた。

 その後、滴滴は、割増手数料を乱発する、常連客から高い料金を取っている(利用するニーズが高いとして高い料金を正当化)などの批判が利用者の間で噴出。この間隙を捉えて、レストラン等の口コミ投稿サイト大手の美団が市場に参入。上海で今年3月にサービスを開始した「美団打車(メイチュアンダーアチャー)」は短期間で上海でのシェア30%を実現するなど急成長し、北京、杭州などでの展開も計画している。さらに、アリババ傘下でデジタル地図サービスの高徳地図も中国内陸部の成都市と武漢市で、配車サービスに参入するなど、改めて市場競争が熱を帯びてきている。

 オンライン配車サービスを巡っては、世界的にみても解釈がまちまち。ドイツ、フランス、スペイン、日本、シンガポールなどは自家用車の使用を違法とみなされているため、配車アプリはタクシーの配車サービスとして進展。米国では、管理規則が州ごとに異なる。世界で初めて配車アプリに関する国レベルの法律を整備した中国で、ライドシェアのサービスがどのような発展を見せるのか? その法律の整備も含めて、世界の国々が注目している。(イメージ写真提供:123RF)