阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディングス/NYSE)、百度(バイドゥ/NASDAQ)、京東商城(JD/NASDAQ)など、米国に株式を上場している中国の大企業が、6月にも中国本土での「里帰り上場(回帰上場)」が実現する見通しとなり、中国の投資家の心をつかんでいる。中国証券監督管理委員会は今年3月に発表したCDR(中国預託証券)発行の第1弾に選ばれる見通しになっているためだ。

 CDR解禁の対象となるのは、インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、ソフトウエア、半導体、ハイエンド製造設備、バイオ医薬といったハイテク産業、または、中国の戦略新興産業に属する企業とされている。コア技術を持ち、市場の認知度が高いことも条件となる。

 具体的な数値基準としては、域外にすでに上場している「レッドチップ企業」の場合、時価総額が2000億人民元(約3兆4300億円)以上が求められる。海外に未上場の「レッドチップ企業」、または、域内登記企業の場合、「直近年度の売上高が30億人民元(約520億円)以上、企業価値が200億人民元(約3500億円)以上」、または、「売上高が急速に成長している企業で、自主開発の技術を持ち、同業他社の中で優位性を持つこと」――が条件として設定された。

 CDR上場のテストケースとして、中国国民に馴染みの深いアリババ、バイドゥ、JDなどの大企業が6月にもCDRを発行するという。

 バイドゥは、中国最大の検索エンジンを提供する会社で、2000年に創業し、2005年5月には米NASDAQで上場を果たした。百科事典の「百度百科」、ストリートビューの「百度全景」を提供し、現在は、フォード、ダイムラー、NVIDIA、マイクロソフト、インテルなど50社とともに、世界最大の自動運転車開発連合「アポロ計画」を主導している。

 アリババは、企業間電子商取引「alibaba.com」、電子商取引サイト「淘宝網(Taobao)」、電子マネーサービス「支付宝(Alipay)」などを提供する中国を代表するIT企業。1999年の創業で2014年9月に米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した当時は時価総額2兆円を超える史上最大のIPOとして世界的な話題になった。

 京東商城は、中国の通販サイト(BtoC)でアリババグループ(天猫Tmall)に次ぐシェアを持つ「JD.com」を運営している。アリババと2強といわれるほど、近年急速にシェアを伸ばしている。2004年の創業で2014年にNASDAQに上場した。

 6月にCDRを発行予定しているのは、中国人の誰でも知っているような大企業のみだ。続いて、旅行予約サイトの携程旅行網(Ctrip/NASDAQ)、ポータルサイトの網易(ネットイース/NASDAQ)、中国版ツイッターといわれる微博(ウェイボ/NASDAQ)、光学レンズの舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー/香港証取)などもCDR発行に積極的といわれている。

 中国で創業し、急成長を遂げた成長企業は、その成長をより確実にするための資金調達の手段を米国の株式市場、または、香港証券取引所に求めた。成長期に資金調達を実行できたが故に、現在の成長を勝ち得たともいえる。米国の株式市場は、資金調達の手段を提供するとともに、百度やアリババの上場にあたっては、その後の株価上場によって、大きな投資機会を投資家に提供することもでき、多くのケースで幸せな関係を築いてきた。ただ、これら企業によって、メインの顧客は中国国内に存在する。今回の里帰りも、中国で大きな話題となるとともに歓迎もされているようだ。(イメージ写真提供:123RF)