中国の本土市場(上海、深セン)と香港市場で、インターネット、ビッグデータ、クラウド、AI(人工知能)などの先端企業の上場誘致が競争になっている。すでに、香港市場にはスマートフォン大手の小米科技(シャオミ)が上場申請し、配車アプリ中国最大手の「滴滴出行(ディディチューシン)」もIPOの手続きに入るといわれている。一方、本土市場には検索サイト最大手、百度(バイドゥ:BIDU/NASDAQ)が中国預託証券(CDR)を発行して上場を計画しているという。にぎやかな上場誘致合戦は、それだけ中国に成長企業が勃興している証ともいえる。

 中国証券監督管理委員会は今年3月、一定条件を満たす企業を対象にCDRの発行を試験的に認める方針を発表した。CDR解禁の対象となるのは、インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、ソフトウエア、半導体、ハイエンド製造設備、バイオ医薬といったハイテク産業、または、中国の戦略新興産業に属する企業。具体的なスケジュールはまだ明らかにされていないが、市場関係者の間では「今四半期(4~6月)末にもモデル実施がスタートする」との観測が浮上している。百度はCDR発行のモデル企業となる見通しだ。

 百度の李彦宏董事長は、かねてより本土マーケットへの上場を希望していた。主要な市場、ユーザーを中国に置くためで、「株主も中国が中心となれば理想的」と述べていると伝わっている。

 一方、香港証取は4月24日、普通株より議決権の多い「種類株」を発行するなど特殊な統治構造を持つ企業の上場を認める新ルールを発表。30日付で同ルールを実施し、上場申請の受け付けを開始した。新たに上場が認められるのは、「種類株などによる加重投票権(Weighted Voting Rights:WVR)構造を採用している新興イノベーション企業」、「欧米市場にプライマリー上場している新興イノベーション企業」、「現時点で収益を出していないバイオテクノロジー企業」――の3種。すでに、スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)が上場申請を提出し、「滴滴出行」も下半期には上場申請をする見通しだという。

 滴滴出行は2015年、配車サービスで中国市場の覇権を競っていた「滴滴打車」と「快的打車」が統合する形で誕生。16年には、米ウーバーの中国事業を買収している。この時、株式交換によってウーバーが主要株主に名を連ねた。また、百度、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE)、騰訊HD(テンセント・ホールディングス/HK)の3大インターネット企業のほか、日本のソフトバンクグループも出資している。上場時の時価総額は700億~800億米ドル(約7兆7600億~8兆8700億円)に上る見通しで、米同業ウーバー・テクノロジーズの企業価値(約700億米ドル)を上回るとみられている。(イメージ写真提供:123RF)