日本経営管理教育協会が見る中国 第516回――三好康司

 最近インターネットを見ていると、某IT企業経営者の言葉が目に入った。「今後、喫煙者は一切採用しないことを決めました」との発言である。私は、自称「マナーを守る愛煙家」だと思っているが、喫煙家にはますます厳しい世の中になってきた。

1.企業経営者の主張

 「法の範囲で個人の生き方は自由です」とした上で、「健康」、「生産性」、「周囲への影響」という観点で会社にとって良いことが何もないというのが、某IT企業経営者が「今後、喫煙者は一切採用しない」理由である。同社だけでなく、某リゾート企業も「喫煙者は採用しない」と明言しているようだ。確かに、分煙でない場所での喫煙、路上喫煙などタバコを吸わない方に迷惑をかける行為は良くないと思うが、マナーを守った喫煙は認められてもいいのではないかと、このような記事を見ると考えこんでしまう。私の考えは、すでに時代遅れなのであろうか?

2.わが国の成人喫煙率

 わが国の喫煙者の推移はどうなっているのか。ふと興味が湧き、「JT全国喫煙率調査」で確認してみた。同調査は、昭和40年から現在に至る各年の喫煙率を、年代別(20歳代、30歳代など)に示している。全年齢平均での喫煙率の推移を見てみると以下のようになる。

     昭40年  昭50年  昭60年  平10年  平20年  平29年
 男  82.3% 76.2% 64.6% 55.2% 39.5% 28.2%
 女  15.7% 15.1% 13.7% 13.3% 12.9%  9.0%

 私がタバコを吸い始めたのは昭和50年代後半であったが、その頃は男性の4人に3人(76.2%)が吸っていたのかと改めて気づかされる。しかし、平成29年には男28.2%、女9.0%の喫煙率となっており、肩身が狭くなるのも仕方がないかとも思ってしまう。

3.東京オリンピックに向けて

 政府は、3月9日に「受動喫煙防止法案」を閣議決定、今国会での成立を目指しているようだ。世の中の流れとして、受動喫煙を無くすことには私も異論はない。しかし、「2008年の中国/北京以降、オリンピック・パラリンピックの開催都市で、屋外でタバコ規制があるのは東京(2020)だけだ。イギリス/ロンドン(2012年)、ブラジル/リオデジャネイロ(2016年)、フランス/パリ(2024年)には屋外規制が原則ない。国際オリンピック委員会は屋内規制を求めていない。欧米では飲食店も含め屋内は原則禁止であるが、テラス席があり喫煙できる場所も多い(日本経済新聞夕刊2017年12月18日号より)」との見方、指摘もある。

 また、週間ホテルレストランが訪日外国人客に実施した日本の喫煙環境意識調査(2015年)では、「街中に吸い殻が落ちていない」が9割強で好印象を示す一方、喫煙者が望む改善点として「屋外喫煙所の案内の充実」、「屋外の喫煙所の増設」が各56%で最多となっている。何事も一律に規制するのでなく、節度、マナーをわきまえるという前提のもと、喫煙者に配慮した喫煙環境を作ることも必要でないかと思うのは、愛煙家の私だけであろうか。(写真は、屋外喫煙所の例。提供:日本経営管理教育協会)